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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第106章 裏切りの重奏
狭い空間で息を整えてから、雄一の番号をコールする。数回もしないうちに、まるでずっと携帯を握りしめて待っていたかのような速さで繋がった。
『……澪!? 澪なのか!?』
携帯の向こうから聞こえてきた雄一の声は、酷く掠れており、彼が一睡もできずに地獄のような夜を明かしたことが痛いほどに伝わってきた。雄一は、同行商談という名のもとに、澪が鬼頭に無理やり連れ去られ、今もその蹂躙を受け続けていると思っているのだ。
「雄一さん、私よ……。心配をかけて本当にごめんなさい。でも、私は大丈夫だから……体調もどこも悪くないわ」
『本当になんともないんだね?……よかった……ちょっと安心したよ』
携帯の向こうで、雄一が張り詰めていた糸を切らしたように、深く安堵の息を漏らすのが分かった。しかし、彼が抱く疑問と不安がすべて消え去ったわけではない。
『……き……鬼頭さんは……どうしている?』
夫からの悲痛で、どこか怯えを孕んだ問いかけに、澪の胸が一瞬、激しく咎めた。まさか鬼頭ではなく、別の若い男と合意の上で生で繋がり、その種を体内に残したままベッドで添い寝していたなど、口が裂けても言えない。
「……眠っているわ、今は」
嘘をつくことは、澪の心を鋭く抉った。けれど、ここで時雨崎との真実を打ち明けることは、すでに限界まで傷ついている雄一に、さらに致命的な新たな苦しみを与えることになる。そう自分に言い聞かせ、必死に声を平穏に保つしかなかった。
「雄一さん、今日も仕事でしょう? もう準備をしないといけない時間じゃない?」
『あ、ああ……そうだね。でも、仕事なんてどうでもいい、君のことが……』
「大丈夫だから。紬は? まだ寝ているの?」
『シッターさんのとこに行く準備をしているよ……。澪、いつ帰ってこられるんだい?』
「なるべく早く帰るわ。……本当に、いっぱいつらい思いをさせてごめんなさい」
澪は溢れそうになる涙を必死にこらえながら、携帯の向こうの夫へ、自らの魂を込めるようにして言葉を紡いだ。
「でも、雄一さん……どんなことがあろうと、私を信じてほしいの。私にとって、雄一さんのことが何よりも一番大事だから。愛してるわ。それだけは絶対に忘れないで」
『澪……っ』
彼の愛おしげな声を背に、澪はこれ以上取り乱して嘘が綻ばないよう、静かに通話を切った。
『……澪!? 澪なのか!?』
携帯の向こうから聞こえてきた雄一の声は、酷く掠れており、彼が一睡もできずに地獄のような夜を明かしたことが痛いほどに伝わってきた。雄一は、同行商談という名のもとに、澪が鬼頭に無理やり連れ去られ、今もその蹂躙を受け続けていると思っているのだ。
「雄一さん、私よ……。心配をかけて本当にごめんなさい。でも、私は大丈夫だから……体調もどこも悪くないわ」
『本当になんともないんだね?……よかった……ちょっと安心したよ』
携帯の向こうで、雄一が張り詰めていた糸を切らしたように、深く安堵の息を漏らすのが分かった。しかし、彼が抱く疑問と不安がすべて消え去ったわけではない。
『……き……鬼頭さんは……どうしている?』
夫からの悲痛で、どこか怯えを孕んだ問いかけに、澪の胸が一瞬、激しく咎めた。まさか鬼頭ではなく、別の若い男と合意の上で生で繋がり、その種を体内に残したままベッドで添い寝していたなど、口が裂けても言えない。
「……眠っているわ、今は」
嘘をつくことは、澪の心を鋭く抉った。けれど、ここで時雨崎との真実を打ち明けることは、すでに限界まで傷ついている雄一に、さらに致命的な新たな苦しみを与えることになる。そう自分に言い聞かせ、必死に声を平穏に保つしかなかった。
「雄一さん、今日も仕事でしょう? もう準備をしないといけない時間じゃない?」
『あ、ああ……そうだね。でも、仕事なんてどうでもいい、君のことが……』
「大丈夫だから。紬は? まだ寝ているの?」
『シッターさんのとこに行く準備をしているよ……。澪、いつ帰ってこられるんだい?』
「なるべく早く帰るわ。……本当に、いっぱいつらい思いをさせてごめんなさい」
澪は溢れそうになる涙を必死にこらえながら、携帯の向こうの夫へ、自らの魂を込めるようにして言葉を紡いだ。
「でも、雄一さん……どんなことがあろうと、私を信じてほしいの。私にとって、雄一さんのことが何よりも一番大事だから。愛してるわ。それだけは絶対に忘れないで」
『澪……っ』
彼の愛おしげな声を背に、澪はこれ以上取り乱して嘘が綻ばないよう、静かに通話を切った。

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