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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第104章 ほだされた情愛
「あ……すみません、僕、自分のことばかり熱くなって話しちゃって……。澪さんのことを何も知らないのに、自分の都合いい感情ばかり押し付けて……」
律弥は申し訳なさそうに視線を落としたが、すぐに何かを決意したように、潤んだ瞳を再び澪へと向けた。その眼差しは、先ほどまでの遠慮がちなものとは違い、どこか切実な光を帯びていた。
「澪さん……あの、不躾なことを聞くのを許してください。でも、どうしても知りたくて……。あの夜、どうして澪さんはあんなことになっていたんですか? あんな、男たちに囲まれて、ひどい目に遭わされるような場所に、どうして……」
単刀直入に投じられた問いに、澪は小さく身体を強張らせた。喉の奥がキュッと締まり、思い出したくもないあの夜の屈辱的な記憶、そしてそこに至るまでの忌々しい経緯が脳裏をよぎる。初めは言葉に詰まり、グラスを見つめたまま躊躇っていた。加害者側の連中の一人である彼に、自分の家の恥部を晒す必要などないはずだった。
しかし、目の前で必死に自分を見つめる律弥の、あまりにも純粋で、どこか救いを求めるような瞳を見ていると、不思議と頑なな心が解けていくのを感じた。今の彼なら、自分の言葉をただの好奇心や欲情で踏みにじるようなことはしない――そんな、奇妙な信頼感が芽生えていた。
澪は小さく息を吐くと、薄い唇をそっと開いた。
「……どこから話せばいいかしら。あの夜のことだけを話しても、きっとあなたには訳が分からないわよね。すべての始まりは……私の夫である雄一の、莫大な借金からなの」
それから澪は、抑揚を抑えた静かな声で、とつとつと語り出した。夫である雄一が多額の借金を背負い込み、その返済がにっちもさっちもいかなくなったこと。その窮地を利用され、悪辣な男たちにつけ込まれていったこと。そして、夫の作った借金のカタとして、自分が身代わりに差し出されるような形で罠に嵌められ、あの逃げ場のないホテルの密室へと誘い出されてしまったこと――。自分の誇りをズタズタに引き裂いたあまりにも不条理な大人の事情と、裏切り、そして地獄のような密室でどれほどの絶望を味わったのかを、一つひとつ言葉を選びながら静かに紡いでいく。
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