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第14章 『魔性』

「宏実…聞きたいことがあるんだ…」


「ふっく…えぇ…何かしら…」


宏実は涙を拭きながら、身体を少し起こす。


「宏実…君は…岩村との前にも…何人か男性と付き合っていた？」


「えっ…それは…」


宏実の涙が止まった…。


「兼子が…小林に言ってたんだよ…それって…本当なの？」


俺を見上げる瞳にまた涙が溜まり出し…


「賢さん…私の事…嫌いになりますよね…」


「大丈夫だよ…何か事情があったんじゃないの？」


好きも嫌いも…最初から愛情を持って近付いた訳じゃないしな…。