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蜜会…春の舞い
第1章 春の舞い
2
エレベーターを降りると、足音だけがやけに響く…
柔らかな絨毯に吸われるはずの音が、なぜか耳に残る。
彼は無言でゆっくりと前を歩き…
「…………」
わたしはその背中を少しだけ離れ、付いて行く。
廊下の奥、彼の足が、ひとつのドアの前で止まり…
「…………」
数歩遅れて立ち止まる。
すぐ後ろ…
触れれば届く距離なのに…
なぜか、触れられない。
彼の肩が、わずかに揺れた気がしたが、振り向かない…
そしてカードキーを持つ指が、一瞬止まった。
すると…
「……帰るか」
小さく、そう言った。
こちらを見ないまま…
「…………」
その言葉は、まるでわたしの心を試しているよう。
わたしは、少しだけ息を吸い…
見つめ…
伸ばしかけた彼の手を、指先で押し戻す。
カードキーが、かすかに音を立て…
わたしは、そのまま肩に頭を寄せていく。
「…………」
言葉にはしない…
それで十分。
ピ…
短い電子音が鳴り
カチャ…
静かに解錠され、ドアが開いた。
バタン…
そのドアの閉じる音が、やけに大きく聞こえ、心に響いてきた。
だけどすぐに…
部屋の薄暗い灯りと、その先の窓に映る、煌びやかな夜景が、その騒めきを鎮めてくれる
だが…
「……………」
いまさら言葉はいらない。
それは分かっているのだが…
ベッドの傍らで上着を脱ぎ、黙ってわたしを見つめる彼への元へと…
あと一歩が踏み出せないでいた。
そして…
「……………」
彼は静かにわたしを見つめているだけ…
「……………」
騒めく高鳴りが、心に鳴り響く…
「ぁ…………」
わたしは一歩を…
「……ぁ、あぁ、夜景がきれい………」
そのまま、窓へと歩いていく……
彼の前を通り過ぎて………
エレベーターを降りると、足音だけがやけに響く…
柔らかな絨毯に吸われるはずの音が、なぜか耳に残る。
彼は無言でゆっくりと前を歩き…
「…………」
わたしはその背中を少しだけ離れ、付いて行く。
廊下の奥、彼の足が、ひとつのドアの前で止まり…
「…………」
数歩遅れて立ち止まる。
すぐ後ろ…
触れれば届く距離なのに…
なぜか、触れられない。
彼の肩が、わずかに揺れた気がしたが、振り向かない…
そしてカードキーを持つ指が、一瞬止まった。
すると…
「……帰るか」
小さく、そう言った。
こちらを見ないまま…
「…………」
その言葉は、まるでわたしの心を試しているよう。
わたしは、少しだけ息を吸い…
見つめ…
伸ばしかけた彼の手を、指先で押し戻す。
カードキーが、かすかに音を立て…
わたしは、そのまま肩に頭を寄せていく。
「…………」
言葉にはしない…
それで十分。
ピ…
短い電子音が鳴り
カチャ…
静かに解錠され、ドアが開いた。
バタン…
そのドアの閉じる音が、やけに大きく聞こえ、心に響いてきた。
だけどすぐに…
部屋の薄暗い灯りと、その先の窓に映る、煌びやかな夜景が、その騒めきを鎮めてくれる
だが…
「……………」
いまさら言葉はいらない。
それは分かっているのだが…
ベッドの傍らで上着を脱ぎ、黙ってわたしを見つめる彼への元へと…
あと一歩が踏み出せないでいた。
そして…
「……………」
彼は静かにわたしを見つめているだけ…
「……………」
騒めく高鳴りが、心に鳴り響く…
「ぁ…………」
わたしは一歩を…
「……ぁ、あぁ、夜景がきれい………」
そのまま、窓へと歩いていく……
彼の前を通り過ぎて………

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