この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蝶恋乱舞~禁断の策略愛に溺れて
第1章 最愛の男
1546年。
満月の夜更けだった。
小袖に袴を穿き、束ねた髪をなびかせて、小姓に扮した美しい姫君が馬を走らせている。
姫は名を帰蝶という。美濃一国を支配する斎藤道三の愛姫である。
年は十六歳。女と言うにはまだあどけなさが残る可憐な顔が、焦燥で火照っている。
明智の屋敷の門前で、馬から降りた。
「斎藤道三の遣いでござる」
帰蝶は小姓のふりで、出迎えた下男に言った。
長身の男が、門に来た。
瞳が月明かりを受けて煌めいている。
丑一時、皆寝静まっている時刻だが、軍学の書物にでも没頭していたのか、まだ起きていたようだった。
男は一瞬警戒の眼差しを向け、すぐにほほ笑んだ。
月明かりに照らされた端正な顔に、優しげな色が浮かぶ。
「帰蝶であるな」
妹の悪戯を咎める兄のような口調だった。
居城である稲葉山城を抜け出すための変装は、男にすぐに見破られた。
「姫、やはり来てくれたか」
やわらかく温かなその男の声に、懐かしさがこみ上げる。
帰蝶はその胸に飛び込みたい衝動を抑えた。
男は、明智十兵衛光秀。
満月の夜更けだった。
小袖に袴を穿き、束ねた髪をなびかせて、小姓に扮した美しい姫君が馬を走らせている。
姫は名を帰蝶という。美濃一国を支配する斎藤道三の愛姫である。
年は十六歳。女と言うにはまだあどけなさが残る可憐な顔が、焦燥で火照っている。
明智の屋敷の門前で、馬から降りた。
「斎藤道三の遣いでござる」
帰蝶は小姓のふりで、出迎えた下男に言った。
長身の男が、門に来た。
瞳が月明かりを受けて煌めいている。
丑一時、皆寝静まっている時刻だが、軍学の書物にでも没頭していたのか、まだ起きていたようだった。
男は一瞬警戒の眼差しを向け、すぐにほほ笑んだ。
月明かりに照らされた端正な顔に、優しげな色が浮かぶ。
「帰蝶であるな」
妹の悪戯を咎める兄のような口調だった。
居城である稲葉山城を抜け出すための変装は、男にすぐに見破られた。
「姫、やはり来てくれたか」
やわらかく温かなその男の声に、懐かしさがこみ上げる。
帰蝶はその胸に飛び込みたい衝動を抑えた。
男は、明智十兵衛光秀。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


