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路地裏文化研究会
第11章 輪読会
 「確かにウブという感じは薄いかもしれぬね。いかに「××××」の愛読者とは言え」
 「そうだったな。女学生なのに『××××』の愛読者で、投稿もすれば『インタヴュウ』までこなしているのだものな」
 「でも、昔は夜這いとか、何て言うかそういうことが今より身近にあったんじゃないかな」
 「なるほどね」

 おじさんたちは自由に女学生のイメージを膨らませているようです。

 『さて、お帰りの汽車の時間も気になります。本日は遠方から有難うございました。末永くご愛読賜ることを切望しております。これまではお兄様から秘かに拝借されていたとのことですが、これを機に貴女とご友人には毎号弊誌を進呈いたしますヨ(笑)』
 『何か体のよい用件を見付けまして、また此方までお邪魔いたします(笑)』

 「…というところです」
 「お疲れ様です」
 「汽車の時間を気にしているが、そんなに遠方なのかね?」
 「就職したら通うかもしれないと言っていたね」

 ”インタヴュウ”が終わってから実際に編集部を後にするまではまだ時間があったのでしょうか。”インタヴュウ”は何かの”前置き”だったのかもしれません。

 「奈津子さんの声はいいよね。落ち着いていて」
 「ありがとうございます…」
 「どうでした? こういうの」
 「なんだか自分に似ているな…って」
 「そうだよね。ボクもそう思ってた」
 「さすが文華堂さんだね。いいテキストを発掘してくれる」

 中村さんが(してやったり)のような顔をしています。

 「どうです? 皆さん、女学生と世代を超えて交流している気分になりましたか?」
 「なったよ。またやろうよ”輪読会”」

 おじさんたちが深く頷いています。

 「奈津子さん、帰りの汽車の時間を気にする必要はありますか?」

 わたしは首を横に振りました。おじさんたちが瓶に残っていたオレンジジュースをぐいっと飲み干し、卓袱台を片付けられ押し入れから布団が出されます。

 「奈津子さんも”うら若き女性”だけれどね」

 布団が敷き詰められていきます。わたしもオレンジジュースを飲み干しました。前置きらしきものはなく始まりそうです。
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