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2026 人質交換を託された女 (上巻)
第5章 スマートマウス(2)
「…ッ…ふぅ…ふぅ…」
熱い鼻息が、猿ぐつわ越しに漏れる。それが床に反射して耳に届いてくる。誰かが扉を開けるのを、ただ待つしかない孤独。その相手が再びあの男なのか、それとも他の誰かなのか、全く予想がつかない。
仰向けになって膝を曲げた。足裏を床に付け、脚を伸ばす力で体を進めていた。足首と甲が縛られているため、もう自ら立ち上がり、歩くことができない。位置と距離感覚を信じ、ゆっくりと体を動かした。
頭がロッカーの底にコツンとぶつかり、私は上体を何とか上げ、足で後退りし、背中をロッカーの扉に預けることができた。
あんな行為が行われた後だからこそ、体を締め付ける縄に、どこか緩みがあることを期待していた。膝を立て、左右に反動をつけ、両脚を上下に動かしてみた。ギシギシと縄が軋むだけで、両脚を1つにする拘束に、緩みは、まったく感じなかった。足首と甲をしっかりと揃えて縛ったのは、こういう事かと、独り納得し、「フゥ…」と絶望の溜息を吐き、扉に頭を預けていく。
今度は上半身を動かしていた。呼吸をするたびに、胸の上下を分かつように這わされた縄が、容赦なく胸を締め付けてくる。ベストの生地が伸びてしまうと思うほど、不自然に突っ張っている。しかし、けして縄が体に食い込み、痛みを伴うことはなく、絶妙なバランスで上半身を覆っていた。時間が経つほどに、隙間なく密着し、体に馴染んでくる感覚がしていた。
熱い鼻息が、猿ぐつわ越しに漏れる。それが床に反射して耳に届いてくる。誰かが扉を開けるのを、ただ待つしかない孤独。その相手が再びあの男なのか、それとも他の誰かなのか、全く予想がつかない。
仰向けになって膝を曲げた。足裏を床に付け、脚を伸ばす力で体を進めていた。足首と甲が縛られているため、もう自ら立ち上がり、歩くことができない。位置と距離感覚を信じ、ゆっくりと体を動かした。
頭がロッカーの底にコツンとぶつかり、私は上体を何とか上げ、足で後退りし、背中をロッカーの扉に預けることができた。
あんな行為が行われた後だからこそ、体を締め付ける縄に、どこか緩みがあることを期待していた。膝を立て、左右に反動をつけ、両脚を上下に動かしてみた。ギシギシと縄が軋むだけで、両脚を1つにする拘束に、緩みは、まったく感じなかった。足首と甲をしっかりと揃えて縛ったのは、こういう事かと、独り納得し、「フゥ…」と絶望の溜息を吐き、扉に頭を預けていく。
今度は上半身を動かしていた。呼吸をするたびに、胸の上下を分かつように這わされた縄が、容赦なく胸を締め付けてくる。ベストの生地が伸びてしまうと思うほど、不自然に突っ張っている。しかし、けして縄が体に食い込み、痛みを伴うことはなく、絶妙なバランスで上半身を覆っていた。時間が経つほどに、隙間なく密着し、体に馴染んでくる感覚がしていた。

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