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2026 人質交換を託された女 (上巻)
第3章 囚われの身
男の動きには迷いがなく、私の腕を後ろで強引に組ませ、しっかりと抑え、決して離そうとしない。

自由を手放し、動きを抑圧された悔しさに、「くっ…」と言葉が漏れていた。まだ交渉の余地はあったのでは、判断を誤ったかもしれないないという後悔が、頭の中を行ったり来たりしていた。

鏡越しに映る姿を見ていた。強制的に背筋を伸ばされ、胸を前に突き出す姿勢にされていた。その無防備な姿に思わず表情が不安で曇っていく。

奥二重の大きな目、ほっそりとした顔立ち、シャープな顎のライン、彼女には無力感が漂い、哀しみの表情を浮かべていた。目の前の女性は別人だと思いたかった。

男は縄の端を口から手に持ち換え、私の腕を近くに手繰り寄せる。バランスが取れず、少し後退りをした。

「ンッ…」と小さな声が漏れていた。すぐさま縄が腕に絡みつき、体を揺すり、前屈みになろうとする。鏡には映らない、けして見ることができない、背後の拘束に不安が増し、腕に何度か巻かれる縄に、じっとしていられなくなる。無意識の内に首を回し、肩越しで背後を気にしていた。だが腕の力は、けして抜こうとしなかった。
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