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海に漂う星屑のように
第1章 大事な手紙
後ろで誰かが声を上げるのが聞こえた。そして、俺の腕に当たった、『何か』がバサバサと音を立てて飛び去った。

「カーッ!カーッ!カァーッ!!」

尻餅をつくようにして転んでしまった俺が見たのは、結構大きな真っ黒い鳥・・・カラスだった。どうやら俺は突然、何の理由もなしにカラスに襲われたらしい。

びっくりした・・・

「ああ!」

後ろは後ろで何かを言っている。振り返ると、若い青年が欄干を乗り越えようとしていた。

身投げ!?

咄嗟にそんな言葉が頭をよぎる。俺は慌てて立ち上がると、その男の手首をぐいと掴む。

「てめぇ!離せよ!何すんだ」
「危ねえだろ!」

男・・・というか、青年・・・いや、男性だよな?と、俺は今自分が手首を掴んでいるそいつをもう一度まじまじと見た。

さらりとした髪の毛、色素が薄いのか、透けるように白い肌
掴んだ手首は細く、華奢だった。

深いブラウンのゆとりのあるパンツにくすんだ赤の薄手のセーター
襟の部分から覗くワイシャツは白に近い薄めのブラウンだった。
その上から少し丈が長い黒のステンカラーコートを着ている。

男・・・だよな?
「離せよっ!」
「やめろ、死にてぇのか!」

いや、間違いない男だ。声が男。

その男は、俺が手を離したらそのまま飛び降りてしまいそうなほど体重を前にかけているので、俺の方は必死で引っ張り上げるしかなかった。引き上げたいが、ジタバタと暴れるのでなかなか思うようにいかない。

「いいんだよ!俺の命なんか!!離せっ・・・よっ!」

叫ぶ男。その言葉が俺の中でパチリと何かのスイッチを入れた。

「命なんか?バカヤロー!」
俺は渾身の力を込めて、男の身体を引き戻す。
やっとのことでそいつの身体を欄干から引きずり下ろしたときには、ふたりとも、地面に尻餅をついたような状態だった。

「ああっ!!」

欄干越しに海に手を伸ばし、その男はなにかとてつもない喪失をしたかのような悲壮な声を上げる。ここに来て俺は初めて、そいつが何かを海に落としたことを知った。

「どうしたんだ?」
声を掛けると、そいつが親の敵のような顔で俺を睨みつける。

「どうしてくれるんだ!手紙!俺の手紙が!ああっ!!」

確かに波間に紙が二枚、ゆらゆらと揺れていた。そして、それはちゃぷちゃぷと波立つ海にのまれて沈んでしまいそうになっている。
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