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透明な部屋
第3章 伊那春香の部屋 3/21(金) 、3/28(金)
実家からマンションに引っ越してから一週間が経った。
結局、両親とはちゃんと仲直りできずにバタバタと引っ越しをしてしまった。
だけど、そんな後悔はもう忘れている。
仕事が終わって、くつろぎタイム。
自分しかいない家って「最高ー」と思いながら、一人暮らしを満喫している。
こうやってソファで寝転がりながらビール片手にテレビを見られるなんて、一人暮らしじゃなきゃできないことだ。
こんなこと言ってると「結婚してたの?」と思われそうだけど、これでも妻だったんです。
結婚していた時は、仕事をフルタイムで残業もしながら家事もして、結構スーパーウーマンだった。
でも、やっぱりそんなの長くは続かなかった。
だんだん不満が溜まってきて、とうとう離婚ということに……。
思い出すとなんだかムカついてきた。
私は一気にビールを飲み干す。
ほろ酔い気分でテレビを見ていると、ちょうどドラマの時間になった。
「最近のドラマはよくわかんないなー」と思いながらも、好きな俳優さんが出ていたからついつい見入ってしまう。
大人の色気を持ちながら、笑うと少年のような無邪気さも感じさせる私の好きな俳優。
その笑顔を画面越しに見ていると、私だけに微笑んでくれているような錯覚を覚える。
だけど、すぐにそれが錯覚だと思い知らされる。
彼の笑顔アップの映像の後、すぐにヒロインのアップが映し出されたからだ。
「もー邪魔」
私は思わずそう叫んだ。
何よりもムカついたのが、20代前半の可愛らしい女優が彼の相手だったということ。
「私だって、あんな頃があったんだから」
嫉妬心をむき出しにする。
そんな私の気も知らないで、ドラマの話は進んでいく。
ふたりが見つめ合っていた。
そこで私はテレビを消した。
次の展開なんか見なくてもわかる。
テレビを消した私は目をつぶった。
さっきまで見ていた彼の顔を思い浮かべる。
澄ました表情をしていると大人の男の顔。
笑っている時は少年のよう……。
「ギュッと」自分のカラダを抱きしめる。
「離婚してから……ううん。違う……結婚してからだ」
私は、男の温もりに久しく出逢っていない。
結局、両親とはちゃんと仲直りできずにバタバタと引っ越しをしてしまった。
だけど、そんな後悔はもう忘れている。
仕事が終わって、くつろぎタイム。
自分しかいない家って「最高ー」と思いながら、一人暮らしを満喫している。
こうやってソファで寝転がりながらビール片手にテレビを見られるなんて、一人暮らしじゃなきゃできないことだ。
こんなこと言ってると「結婚してたの?」と思われそうだけど、これでも妻だったんです。
結婚していた時は、仕事をフルタイムで残業もしながら家事もして、結構スーパーウーマンだった。
でも、やっぱりそんなの長くは続かなかった。
だんだん不満が溜まってきて、とうとう離婚ということに……。
思い出すとなんだかムカついてきた。
私は一気にビールを飲み干す。
ほろ酔い気分でテレビを見ていると、ちょうどドラマの時間になった。
「最近のドラマはよくわかんないなー」と思いながらも、好きな俳優さんが出ていたからついつい見入ってしまう。
大人の色気を持ちながら、笑うと少年のような無邪気さも感じさせる私の好きな俳優。
その笑顔を画面越しに見ていると、私だけに微笑んでくれているような錯覚を覚える。
だけど、すぐにそれが錯覚だと思い知らされる。
彼の笑顔アップの映像の後、すぐにヒロインのアップが映し出されたからだ。
「もー邪魔」
私は思わずそう叫んだ。
何よりもムカついたのが、20代前半の可愛らしい女優が彼の相手だったということ。
「私だって、あんな頃があったんだから」
嫉妬心をむき出しにする。
そんな私の気も知らないで、ドラマの話は進んでいく。
ふたりが見つめ合っていた。
そこで私はテレビを消した。
次の展開なんか見なくてもわかる。
テレビを消した私は目をつぶった。
さっきまで見ていた彼の顔を思い浮かべる。
澄ました表情をしていると大人の男の顔。
笑っている時は少年のよう……。
「ギュッと」自分のカラダを抱きしめる。
「離婚してから……ううん。違う……結婚してからだ」
私は、男の温もりに久しく出逢っていない。

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