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透明な部屋
第1章 石丸琴音の部屋 4/15(火)
「琴音ちゃん。20歳の誕生日おめでとう。どう? 大学は楽しい?」
「お母さん……もう大学2年だよ。そんな最近大学に通い始めた人みたいに言わないでよ」
思わず苦笑いした。

「やっぱり女の子の一人暮らしは心配だから……」
「お母さん……心配ないよ。バイトもしてるし、それにここのマンション、家賃安いし……」
駅に近いところにあるのに家賃が安いこのマンションに入れたのは、確かに幸運だった。

「でも大丈夫なの? 家賃が安くて良いって喜んでるけど、壁が薄いとかそういうことはないの?」
本当にお母さんは心配しすぎ……。
「そんなことないよ。テレビで問題になってるアパートとは全然違う会社だよ」

「はあー」
お母さんと話をしていたらちょっと疲れた。
心配してくれるのは嬉しいけど、もう20で大人になったのに、まだ子供扱いするんだ。

実家から離れたところにある大学に通うことを決意したのは、両親、特にお母さんから自立したいと思ったからだった。
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