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O……tout……o…
第1章 おとうと
1
「ふうぅ…」
連日の残業からクタクタになって、帰宅し、マンションの部屋の郵便ポストを開くと…
「あ…」
結婚式の招待状が入っていた。
そして部屋に入り、その招待状を開き、読む。
『櫻井 葵様
拝啓 早春の候、皆様にはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、このたび私たちは結婚する運びとなりました。
つきましては、日頃よりお世話になっております皆様に、ぜひご列席賜りたく、ここにご案内申し上げます。
ご多用中誠に恐縮ではございますが、何卒ご出席くださいますようお願い申し上げます。
日時:〇年〇月〇日(〇曜日) 〇時〇分
場所:〇〇〇〇(会場名・住所)
末筆ながら、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
櫻井真司 澤田美耶子
敬具』
それは、弟からの、いや、義理の弟からであった。
4歳下の義理の弟…
真司…
しんちゃん…
あれから約10年だから、今は24歳か…
そう、あれから10年…
わたしが大学進学を決めて、家を出てから約10年。
つまり、あれから…
10年間、会ってはいない…
連絡さえもしていない…
そして、帰ってもいない。
『今更…何で?』
わたしの手にある真っ白な招待状が…
戸惑いの揺らぎに、小さく震えていた。
もう弟とは、いや、義弟とは、ううん、彼とは…
完全に縁を切ったはずだと思っていたのに…
いいや…
家族としての縁さえも、稀薄にしていたはずなのに…
「ふうぅ…」
連日の残業からクタクタになって、帰宅し、マンションの部屋の郵便ポストを開くと…
「あ…」
結婚式の招待状が入っていた。
そして部屋に入り、その招待状を開き、読む。
『櫻井 葵様
拝啓 早春の候、皆様にはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、このたび私たちは結婚する運びとなりました。
つきましては、日頃よりお世話になっております皆様に、ぜひご列席賜りたく、ここにご案内申し上げます。
ご多用中誠に恐縮ではございますが、何卒ご出席くださいますようお願い申し上げます。
日時:〇年〇月〇日(〇曜日) 〇時〇分
場所:〇〇〇〇(会場名・住所)
末筆ながら、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
櫻井真司 澤田美耶子
敬具』
それは、弟からの、いや、義理の弟からであった。
4歳下の義理の弟…
真司…
しんちゃん…
あれから約10年だから、今は24歳か…
そう、あれから10年…
わたしが大学進学を決めて、家を出てから約10年。
つまり、あれから…
10年間、会ってはいない…
連絡さえもしていない…
そして、帰ってもいない。
『今更…何で?』
わたしの手にある真っ白な招待状が…
戸惑いの揺らぎに、小さく震えていた。
もう弟とは、いや、義弟とは、ううん、彼とは…
完全に縁を切ったはずだと思っていたのに…
いいや…
家族としての縁さえも、稀薄にしていたはずなのに…

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