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赤椿の島、青き恋~椿島の人魚たちへ
第2章 叶わぬ夢~憧れ~
ーおじいちゃんは死んじまったのさ。
姐さんの口調もどこか淋しげだった。
幼い香蘭に老人の歳は判るはずもなかったけれど、既に相当の歳であったのは想像に難くない。
以来、叱られて泣く香蘭を慰めてくれる人が一人いなくなった。香蘭はベソをかく度、あの優しい老人を思い出したものだ。頭をゆっくりと撫でてくれる手つきの優しさ、彼がくれた蜜柑が殊の外美味しかったこと。老人が心の隙間を埋めてくれたことで、香蘭は随分と救われたのだ。