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イケナイアソビ。
第7章 咎人-出逢い編-
「この状態でどうやって家に帰れと言えるんだ?」
藤次郎は少女を見下ろし、顎でしゃくって銀之助に訊ねた。
少女は未だに藤次郎の裾を掴んだきり、離そうとはしない。
「確かに」
銀之助は少女を見やり、大きく頷いた。
正直、あの長屋は重苦しい雰囲気が漂い、息が詰まる。
藤次郎の親代わりをしているあの男は自分がどうなろうが気にも留めないだろう。いくら待っても戻らぬ酒に苛立ちを覚えているに違いない。
「……安心しろ。俺に帰る家はないぜ?」
「……それは……?」
銀之助の顔色が変わる。十八にもなって今さら同情なんてものはいらない。それが好いた相手なら尚のこと。自分が惨めになるだけだ。
藤次郎は腰を下ろし、少女と向かい合うと口を開いた。
「その饅頭はお前が獲得した獲物だ。誰も取らねぇからゆっくり食べな」
藤次郎のその言葉はぶっきらぼうだが、優しい声音だった。やはり少女からの返事はない。しかし、しっかりと持っていた饅頭を大きな口を開けて頬張りはじめた。
その光景に、その場に居合わせた役人も――そして銀之助もほっと胸を撫で下ろしたのは言うまでもない。

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