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イケナイアソビ。
第8章 恋して! ウェアウルフ
(十五)
彼は何を口にしただろう。
ぼんやりと焦点の合っていない目で彼を見上げる。
乱れた息を整えながら、ややあって少しずつ意識を取り戻した。
自分を見下ろすその目は窄まり、普段、への字に曲がっている口角が弧を描いている。
なんて綺麗なんだろう。
それは初めて宝が見た丞の微笑だった。
全てを包み込むようなその笑みは今、自分ひとりに向けられている。
そう思うと、胸がいっぱいになる。
(どうしよう、嬉しすぎて泣きそうだ……)
「っう、俺、もう……」
手の届かない人だと思っていた。
思いが通じる日が来るなんて想像すらできないほど……。
宝の視界が滲みはじめる。
「好き、愛してる……」
涙を流したそのままの顔で丞に想いを告げれば、彼は目尻に口づけを寄越す。
宝を慰める行為。
けれどもその仕草で余計に泣いてしまう。
「っひ、っひぃいい……」
宝は彼の広い胸に頬を擦り寄せた。
「……困ったな、どうすれば泣き止むかな?」
困惑気味の声が聞こえる。
その声音もまた、耳にしたことのないもので、宝にとって丞と過ごす時間が新鮮だ。
泣き止むなんてどうやっても難しい。
宝は両腕を彼の背中に回した。
すると、丞の骨ばった手が臀部まで伸びてくる。
これはいったいどういうことだろう。
驚いて見上げれば、丞は苦笑していた。
「……君と居ると性欲が尽きそうにない」
太腿に触れる彼の陰茎はまさに今の状況を表わしている。
「……うそっ! そんっ、あっ……ん」
言うが早いか、宝はふたたびベッドに組み敷かれる。
薄い唇が宝の口を塞ぐ。さらに頬を通って首筋に吸い付いた。
そうなれば、宝もまた熱を孕みはじめる。
好きな男性に求められるのは嬉しい。
組み敷かれるのは本望だ。
けれど……。
「や、待って。まだ……ああんっ!!」
丞に抱かれるには体力がうんと必要だ。
なにせ丞とは長い時間を共に過ごすことになるのだ。
それは宝が、これから身体を鍛えなければいけないと理解した瞬間でもあった。
-Fin-

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