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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第19章 新しい記号
「命令されるのが好きなわけじゃないのに、どうして私の前ではそんなふうになっちゃうんだろうね。」

「それは……ナツはどんなことでも、受け入れてくれそうだからかも。」

「嫌がらないってこと?」

「それもあるけど、それだけじゃないんだよね。」

それがなんなのかを思考を巡らせているうちに、ナツに触れていた指先はいつの間にか止まっていた。

「俺が自分でも分かっていないことを、ナツが先に気付いてるみたいな時があって。」

「私が、裕樹よりも先に?」

「うん、それが何かって明確には言えないんだけどね。」

そう言うと、ナツは何かを確かめるように裕樹の腕の中でゆっくりと身体を返した。

湯が小さく波打ち、吐息が触れそうな距離で視線が重なる。

ナツは裕樹の目を覗き込んでいたが、その視線をゆっくりと顔から首元へと滑らせた。

「じゃあ裕樹は、自分の中にあるものを相手に見つけられるのが好きなのかな……。」

「……それだ。見つけられるって感覚、ちょっとゾクッとするかも。」

「そうなんだ。」

ナツはその答えを確かめるように裕樹を見つめ、更に身体を密着させた。

お互い目を瞑ると自然に唇が重なる。

「裕樹はまだ、私に見つけて欲しいことがあるの?」

「あるよ。ナツにまだ言えてない、してみたいこともあるし。」

「え〜?どんなことしたいの?言ってみてよ。」

「いきなり言うのもアレだから……タイミングがあった時に言うよ。」

「勿体ぶらなくても、私の身体でなんでも好きなことしていいのに……?」

ナツは抱いた腕に少しだけ力を込め、柔らかな乳肉を更に押し付けるように裕樹の身体を引き寄せた。

「……そういうこと言うのが、ゾクッとするんじゃん。」

「え。今ので?」

「好きなことしていい、なんて受け入れてくれると……もっと自分を出したくなるよ。」

不意に気恥ずかしくなり、ナツの胸元に隠れるように顔を埋めた。

身体に回されていたナツの腕がゆっくりと解け、裕樹の頭を包み込む。

虫の鳴き声を聞きながら、ナツの指先にゆっくりと髪を梳かれる時間が続いた。
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