この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
紅蓮の夜に、君をさらう
第1章 炎の宮殿、出会いの夜

私は思わず身を縮めて、部屋の奥へと逃げ戻った。
せめて――せめて、焼かれずに済む場所があれば。
でも、この部屋には窓もない。扉も塞がれた。
「助けて……」
声は、かすれて誰にも届かない。
涙が頬を伝うのを感じた、その時だった――。
「誰だ!」
火の中から、男の声がした。
低く、けれど通る声――まるで炎を切り裂くように。
「助けてくださいっ!」
私は声のする方へ走り出した。
煙にむせながら、視界が赤に染まるなか――その人の姿が見えた。
そして一瞬、時が止まった。
長く流れる黒髪。
くっきりとした眉に、真っ直ぐな瞳。
火の光に照らされた横顔は、まるで彫刻のようだった。
せめて――せめて、焼かれずに済む場所があれば。
でも、この部屋には窓もない。扉も塞がれた。
「助けて……」
声は、かすれて誰にも届かない。
涙が頬を伝うのを感じた、その時だった――。
「誰だ!」
火の中から、男の声がした。
低く、けれど通る声――まるで炎を切り裂くように。
「助けてくださいっ!」
私は声のする方へ走り出した。
煙にむせながら、視界が赤に染まるなか――その人の姿が見えた。
そして一瞬、時が止まった。
長く流れる黒髪。
くっきりとした眉に、真っ直ぐな瞳。
火の光に照らされた横顔は、まるで彫刻のようだった。

