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わたしの妄想日誌
第17章 ××××鑑賞会
 ♠今日は勤めが早くひけたので、飲み屋にでも寄って帰ろうかと途中の駅で降りる。いや、その駅で降りた理由は、鑑賞会で彼女が手にしていた雑誌のことが気になっていたからだ。あのような悪書を扱っている書店は何軒か知っているが、最も買いやすい雰囲気である店があるのが今降りた駅の傍にあるのだ。

 その店は表通りから一本裏の路地にひっそりと佇んでいる。店主らしき老人が帳場に座っているだけで、客はいないようだ。よく言えばインクのにおいのような、悪く言えばただカビくさいような店の一番端の棚に入り込み、あの雑誌『××××』を探す。探すが見当たらない。『××××』の在処は主人に訊けばよいのだろうが、題名を口にするのも憚られる。一体彼女はどの様に手にしているのだろうか。

 (おやじさん、年の頃は三、四十といった奥さんが『××××』を買いにきていないかい?)

 帳場で眼鏡を額に載せて新聞を読んでいる店主に、そんなことを訊いてみたくなる。

 (『××××』ですか? ああ、いますね。旦那がおっしゃる三、四十くらいの女の人。お知合いですかい? ははあ、旦那はあの女の人のお連れさんですかね?)

 残念ながら、彼女の連れではない。知り合いと言えば知り合いだが。

 (連れ? なんで、そう思うんだね?)

 (いや、なに、たまにいらっしゃるようなんでね。そういうことをなさるのがお好きな方が)

 (そういうこと?)

 (うちで扱っておいて言うのもなんだが、ああいう『××××』みたいな本を買うなんてふつうの女の人はしやしないじゃないですか? それを旦那さんか間男さんかはわかりませんが、男に言いつけられて買いに来るんですよ)

 (ほう、それは面白いね)

 (そうでしょう? わざわざ”『××××』は入っていますか?”なんてお尋ねになるものだから)

 (ほう。わざわざ、ね)
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