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木漏れ日をすくう手
第9章 青い画面の向こうから
夏休みが始まって、五日目。
部屋のカーテン越しに射す光はまぶしく、どこか所在なかった。

友達のグループLINEは毎日賑やかで、旅行の写真や遊びの計画が次々と流れてくる。

でも、葵の心はどこか遠くにあった。
保健室の白いカーテンと、椎名先生の声と、少し乱れた髪――。

(会いたいな)
ふいに、そう思ってしまった。

スマホの画面を開く。
“保健室の椎名先生”とだけ登録された、ひとつのトーク画面。
連絡なんて、ほんとうはしてはいけないのかもしれない。
でも――ほんのひと言だけ。

「先生、お元気ですか? 夏バテしてませんか?」

震える指で送信ボタンを押した。
送ってから、胸が高鳴って仕方なかった。
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