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午後四時までの性隷
第29章 事後の帰路
「いらっしゃいませ」

いつものアルバイトさんがいました。

「今日はいかがなさいますか?いつでもお声掛けください」

「ええ」

「あれっ、奥様、今日はいつもと雰囲気が違いますね。何かいいことあったんですか?」

やはり女の目は敏感です。

私の雰囲気が違うことを、すぐに見抜いたのです。

「そ…そう?いつもと変わらないけど…」

平静を装って、そう言いました。

「そうですかぁ?なんかこう…生き生きとした感じっていうか。そのワンピースも素敵ですね!」

持ち上げられて、ちょっと高めのアレンジメントを購入してしまいました。

「こんな素敵な奥様を持てる旦那さん、羨ましいなぁ」

彼女にしてみればなんてことのない一言が、私の胸をチクリと刺しました。

ついさっきまで、初めて会った夫以外の男の人とデパートの階段でセックスしてたのよ…私…しかも…縛られながら…。

そんなこととはつゆしらず、幸せな家庭だと思って羨んでくれていることに、少し後ろめたい気もしました。

「おいおい、あんまりお客様のご家庭のことを検索しちゃダメだぞ」

奥から店主の声が聞こえました。

「あっ、すいません」

諌められたからでしょうか、彼女は急にしおらしくなり謝ってくれました。

「いいのいいの。気にしないでね」

私はお花屋さんを後にし、自宅へと向かいました。
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