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誰にも言えない、紗也香先生
第8章 審判不在
「はっ、ん……ぁ……」
「ん、ふ……サヤ……」

呼吸の音さえ、ひとつになっていく。
腰の動き、揺れる胸、震える手のひら。
肌と肌の熱が、ひとつの楽器のように交わり、
互いの奥深くで、同じ痛みと、同じ甘さが育っていく。

やがて、
「は……っ、ん……くぅ……」
「ぁっ……! もう、もう……!」

そして——

「んんん……っ♡♡♡」

ふたり同時に、長く、甘い吐息。
頭を深く垂れ、四つん這いの姿勢のまま、
ベッドにうつ伏せに崩れ落ちる。

静寂の中、ベッドだけが、なお小さく揺れていた。

アリスは、しばし動けなかった。
手帳を開いたまま、固まったようにふたりを見ている。

「……あ、あの……これは……」

困惑するメイド姿の審判官。
だが、私とリザは息を整えると、視線だけで合図を交わした。

「…………」

「え?」

その瞬間——!

「ふふ……っ」
「アリス、逃げられないよ」

ふたり同時に、アリスのスカートの端とエプロンの紐を掴む。
その動きは、まるで風に溶ける魔法のようにしなやかで——
白い布がふわりと宙を描き、次の瞬間、メイド服がアリスの身体から解かれていた。

「……っ!? ま、待って、それは……」

戸惑うアリスの声を背に、
リザが微笑み、私がそっと囁く。

「“勝負なし”の、特別ルール、ね?」

アリスの頬がほんのり染まり、
その姿が、まるで新たな勝負の始まりを告げるようだった——。
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