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誰にも言えない、紗也香先生
第9章 雨あがり
「……冷えてない?」
勇くんの手が、私の背中をそっと撫でる。
そのぬくもりは、まるで毛布みたいに、心の奥まで包んでくれる。

「ううん……あったかいよ」
そう答えた声は、少しだけ震えていた。
さっきまでの朗読の余韻と、今こうして隣にいる彼のぬくもりが、
胸の中で静かに混ざり合っていく。

(どうして、そんなに優しいの……
 私なんかのこと、こんなに大事そうに……)

私はそっと、彼の胸に顔を埋めた。
湿った髪先が彼の肌にふれるたび、彼の肩がわずかに揺れる。
でも、その腕は離れずに、私をそっと抱きしめ続けてくれた。

「……先生の匂い、なんか落ち着く」
「えっ……や、やだ……そんなこと……」
恥ずかしさに、思わず背中を丸める。
でも、彼の腕は少しだけ強くなって──それが答えみたいだった。

「……こうしてると、なんか全部、大丈夫って思える」
「…………」

(それって、どういう意味……?
 でも、もしそうなら──私も……)

私は、そっと唇を重ねた。
さっきまで声で交わしていた気持ちが、
今はぬくもりと鼓動で伝わっていく。

静かで、やわらかくて──
でも、どこか泣きたくなるほどあたたかい。

気づけば、涙が頬を伝っていた。
自分でも理由がわからない。
ただ、あふれてしまった。

「……先生、泣いてる」
「泣いてないもん……」

彼が私の涙を、そっと唇でなぞってくれた。
その優しさが、また涙をこぼさせるのに。

雨上がりの夜の静けさが、
私たちの間を、そっと優しくつつんでいた。
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