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第34章 翔太とのデート

土曜日。あいにくの雨。会社から貸与されたアクアで、迎えに向かった佐川。

遅刻は許されない・・・。早めに近くまで来て、待機。

車を止めてシートを倒した。車の天井を睨みながら、考えた。

　　　　恨みつらみはあるが、
　　　　ある程度は、『好き』と
　　　　思った時期もあった女。
　　　　思春期前期というか、
　　　　小学校の高学年・・・。
　　　　鬱陶しいと思ったこともあった。
　　　　でも、自信につながったことも
　　　　確かだった。
　　　　女にモテて嬉しくない男なんていない。
　　　　それに、実雅子は、小学生の頃から
　　　　男子の憧れだった。
　　　　俺は、憧れなんてなかったが・・・。
　　　　なかったのか・・・？
　　　　素直になれなかっただけか？
　　　　なぜ、あんなに男子は憧れていたんだ？
　　　　今の実雅子ならわかる。
　　　　爆乳・巨尻で、人妻の艶、色気。
　　　　清楚で整った顔立ち・・・。
　　　　そうか・・・。
　　　　顔が整っていて、笑顔が多いなら
　　　　モテるはずだ・・・。
　　　　頭も悪くなかったし、優等生だった。
　　　　単に、俺にとっては競争相手というか、
　　　　ライバル視していたから、
　　　　鬱陶しかっただけで、
　　　　普通なら、綺麗で可愛くて賢ければ、
　　　　憧れて当たり前なのかもしれない。
　　　　今になれば、わかることが、
　　　　あの頃の俺にはわからなかったんだ？
　　　　中学の同級生が羨ましがったのも
　　　　当然か・・・。
　　　　そうか。あのとき、
　　　　俺が、素直になれていれば、
　　　　ハッピーな中高時代を過ごせたのか・・・。
　　　　いや、もしかしたら、
　　　　大学も同じか、近い大学に通って、
　　　　結婚なんてこともあったのかもしれない。
　　　　何もかも、潰したのは、俺・・・。
　　　　俺が素直でなかったから・・・。
　　　　アイツはただ、直向きだったのに、
　　　　俺が・・・。
　　　　いや、俺だけが悪いのか？
　　　　アイツにだって非がないわけじゃない。
　　　　中学受験の失敗だって、
　　　　中学を退学した理由だって、
　　　　中学三年間、苦労した理由だって、
　　　　すべて、根源はアイツだった。