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溶け合う煙のいざないに
第3章 欲望の赴くままに

 右手で膝裏を掴み広げながら、左手で眼鏡を押さえてじっと視線を注がれる。
「ちょ……恥ずかしい、んだけど」
 まじまじと結合部を観察されているようで、制止の手を伸ばす。
 乱れた前髪をかき上げながら、鐘二は眼鏡を外して脇に置いた。
 裸眼の目力やばいって、やっば。
「悪い。外す前に見ておきたくて」
「え」
「この穴に出すんだって……興奮するだろ」
 ぐちゅん、と最奥まで届いた衝撃に、つま先がびくっと伸びる。
「あっ、は……」
 やばい、超硬いじゃん。
 ガンガン突かれたりしたら、意識飛ぶ。
 期待して中がびくついてるのも全部バレてるのが、猶更心臓を痒くする。
 はー、はー、と自分の吐息が煩い。
 せめて相手も同じ表情であってほしいと睨みつけると、下唇をぐっと噛み締めて目を閉じていた。
 苦しそうな眉間の皺に、庇護欲が駆り立てられて腕をそっと掴む。
 ふうっと息を吐きながら開いた眼に、心配など要らなかったことを悟る。
「締めすぎ……長く楽しみたいんだから、少しは力抜けよ」
 爆発寸前だったのを知り、余計にきゅうっと腹に力が入ってしまい、はっはっと急いで深呼吸をする。ずきずきと心臓が痛いのは、余裕ない眼を見てしまったから。
 怒りが向けられたらどうなってしまうんだろう。
 この好奇心で相性のいいセフレを逃したことを思い出す。
 いうことを、聞く。
 今日の俺は、忠犬。
「……偉いな」
 あまりに優しい声で褒められたから、ひょっとして相性だけでなくもう好意をまっすぐぶつけてもらえているのかと思い込みそうになった。
 ぎちぎちにフィットしたそれがゆっくり抜かれて奥に戻ってくるたび、そのワードを言ってしまいたくなる。
「んんっ、ふ、っああ」
 バカ、二十歳じゃないんだ。
 困らせておざなりに今夜が終わるなんて嫌だ。
 唇から零れそうな甘えを手の甲で押さえつけて、ズッズッ、と全身を押し上げ火照る快感が脈打つように責め立てる。
 そう、腹の内側にぐって押し付けるみたいな、それ、やばすぎる。
 もっと荒くされると思ってたのに……ひとつひとつを、壊さずになぞるみたいに丁寧だから逆にたまらなくなる。
 けどちょっと顔が遠いんだよ。
 抱きしめて、とか、言っても嫌がんないかな。
 言いたい。
 手を伸ばしたい。
 シーツを握っていた左手を持ち上げようとすると、律動が鈍く止まった。
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