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微熱に疼く慕情
第10章 【囚われない愛と持続的な関係】

何の疑いもない様子だから私の思い過ごしなのかも
隣に居るとこんな近くて誘惑ばかりしちゃうのに
肝心なところでは一線を引く
最初に伝える事でセーブさせている
そんなつもりはないよ、と明らかにする
意地悪でしょ?
弄ばれてるって思ってる?
「ごめんなさい、カウンターしか空いてなくて」
「ううん、全然良いよ、こういうお店好きだよ」
「いや、もっとお洒落なバーとかあれば良かったんですけど」
「え、何…?」
わざと顔を近付けて聞こえなかったフリ
腕ごと引き寄せて
「このくらいの距離じゃないと聞こえないね」ってあざとい顔も出来ちゃう
普通のワイワイガヤガヤ系の居酒屋さんでも楽しいから好き
色々悩ませてごめんね
運転しながらだったから「そこにしよう」って私が言ったんだから気にしなくて良いのに
大将みたいな店長さんがオーダーを聞いてきて
「生ビール中ジョッキ!」と元気に頼んだから笑われちゃった
乾杯して半分ほど一気飲みしてプハーっての、やりたかったんだ、嬉しい
「あ、ペース合わせなくて良いからね、旺志郎くんのペースで飲んで」
「え、何?」
あ……真似された
近くで見ると本当に綺麗な顔立ちしてる
「今の絶対聴こえてたでしょ?」
「バレた?エヘヘ」
「ねぇ、もう酔ってないよね?」
「大丈夫、大丈夫」
「本当に?もう〜」
弱いくせに飲みたいなんて、ジョッキが空く頃には頬がほんのりピンク色でほろ酔い状態だもんね
酔わないんじゃなかった?無理しちゃって
「はい、彼女可愛いからサービスしちゃう!」と店長さんが串焼きセットをサービスしてくれた
旺志郎くんったら席を立って「ありがとうございます!」って元気良くお礼言うんだもん
「初々しいカップルだね〜」って言われてまたお互い赤くなる

