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コンビニバイトの男の子
第7章 歪み
階段を上って行く音を聞いて、萩子は溜め息をつきます。
「ふーっ、まさかそこを指摘してくるとは思わなかったな」
安堵感から思わず独り言を呟くと、着古して襟ぐりがゆるくなっている長袖のTシャツに目を落としました。
(こっちには、気付かなかったのに・・・)
手で胸の辺りを掴んで引っ張ります。服に隠れていたすぐ下の胸元からお腹まで、覗いて見える範囲の白い肌に十以上の赤いキスマークが浮いていました。
ダイニングの椅子に座る貴之の横から配膳をした時や、食事中に調味料を取る時に、必要以上にわざと前屈みで近付いてみたのですが、萩子の方を見ることはありませんでした。
(こっち見たら、絶対バレてたよね。まあ、見られたとしても、虫に刺されたって言って誤魔化したけど。貴之さん、こういうの疎そうだし・・・)
その時の心境が蘇ってきます。
(気付かれたらどうしようっていうどきどき、凄かったなー)
キスマークから連鎖的に、また悠希と過ごした情景が浮かんできました。自然と腰がもぞもぞと動いてしまいます。
(いけない!平常心で!)
淫らな記憶を振り払おうと頭を左右に振ると、視界にテレビが入りました。
(ビデオ鑑賞会も楽しかったなーって、駄目だ。どうしても変なこと考えちゃう)
萩子は勢いよく立ち上がります。
「さてと、家事を開始しますか」
ダイニングテーブルの食器を手にして、キッチンに向かいました。
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