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第8章 綾乃と綾

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「　明日、10時にお迎えに上がります　」
綾乃の家の傍で。車から降りる綾乃に声を掛け
和彦の車は　去って行った

自宅へ向かう綾乃の顔は何処か吹っ切れた様に
明るい表情で家の中へと入って行った、

昨日まで冷たく寂しい家の中が輝いて見える、
綾乃は小さく好きな歌を口ずさみ
キッチンへ、キラキラした目で冷蔵庫を開け
夕飯のメニューを考え始め、鼻歌が自然に出ていた

康二は駐車場に車を入れ、玄関に向かう　
扉に手を掛け康二は深い溜息を吐き出して玄関を開けた　
和彦が尋ねて来た晩から　綾乃と会話を交わさない生活が
身から出た錆、解ってはいたが　冷たい家の中
一人で寝る暮らしは　心を蝕んでくる

「　お帰りなさい　」

壮馬と悠馬の声が　帰って来た康二を見て
嬉しそうに声を掛けて来た

「　お帰りなさい　」

柔らかな綾乃の声に　康二は伏せていた顔を上げ
綾乃を見つめ

「　ただいま・・・・　」

綾乃を伺うように見て、返事を返してテーブルを見た