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雨が好き
第79章 扉

ああ、いけない、心配、させちゃう・・・。
私は首を振って、笑顔を作った。
でも、無理してるの、すぐ分かっちゃったみたいで、
お父さんが、
「なにか、困りごとかい?
言えないこと?」
と聞いてきた。
もちろん、言えないことなどでは、ない。
でも、いつもいつもお父さんに頼ってばっかりじゃいけない、
そんな思いもあって、
だから、10秒くらい迷って、
「ううん、大丈夫。
ちょっと、自分で、頑張ってみる」
私は、そんなふうに言っていた。
お父さんが一瞬驚いたような顔をした気がしたけど、
すぐにふわっと笑顔になった。
「そうか」
そう言って、手元の新聞に目を落とした。
「そうか、そうか」
なんだか、噛みしめるように、二回も、そう言った。
その『そうか』はなんだかとても優しい気がして、
蒼人さんのご実家で、背中を押されたのと、同じような感じがして、
『とりあえず、行ってみよう』
と、私は、いつにないことを考えだしていた。
エプロンを外す。
「ちょっと、行ってきます」
お父さんに一言、言って、
カラン、と、『みなと町』の扉を押して、外に出た。
外には、眩しい光が溢れている。
どうしていいかもわからないけど、
どっちに行ったらいいかわからないけど、
とりあえず、一歩、進んでみよう、
そんなふうに、思った。
私は首を振って、笑顔を作った。
でも、無理してるの、すぐ分かっちゃったみたいで、
お父さんが、
「なにか、困りごとかい?
言えないこと?」
と聞いてきた。
もちろん、言えないことなどでは、ない。
でも、いつもいつもお父さんに頼ってばっかりじゃいけない、
そんな思いもあって、
だから、10秒くらい迷って、
「ううん、大丈夫。
ちょっと、自分で、頑張ってみる」
私は、そんなふうに言っていた。
お父さんが一瞬驚いたような顔をした気がしたけど、
すぐにふわっと笑顔になった。
「そうか」
そう言って、手元の新聞に目を落とした。
「そうか、そうか」
なんだか、噛みしめるように、二回も、そう言った。
その『そうか』はなんだかとても優しい気がして、
蒼人さんのご実家で、背中を押されたのと、同じような感じがして、
『とりあえず、行ってみよう』
と、私は、いつにないことを考えだしていた。
エプロンを外す。
「ちょっと、行ってきます」
お父さんに一言、言って、
カラン、と、『みなと町』の扉を押して、外に出た。
外には、眩しい光が溢れている。
どうしていいかもわからないけど、
どっちに行ったらいいかわからないけど、
とりあえず、一歩、進んでみよう、
そんなふうに、思った。

