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天狐あやかし秘譚
第65章 主客転倒(しゅかくてんとう)

事後処理の指示とその復命を受けることであっという間に時間が経ってしまい、時刻はすでに0時を回っていた。張り詰めた緊張と自らに向けられた怒りによるストレスが降り積もっているのが痛々しいほど瀬良にも見て取れた。
「・・・少し、お休みください。後は私が報告等の受理をいたします」
彼女が声を掛けると、土御門様が顔を上げた。その顔を見て、少しだけ表情を和らげる。
「ああ、瀬良ちゃん、そうやな・・・あと、頼むわ」
ヨロリと立ち上がると、執務机の横にあるソファに横たわった。
瀬良は明かりを少し暗くし、その身体にブランケットをかける。
頼ってくれたと、思っていいのだろうか?
・・・いや、多分、違う。
私に気を使ってくれたんだ。
顔をほころばせたのも、大人しく休んだのも。
全部、全部・・・。
ひとりで戦わないでほしいのに。
もっと、私に八つ当たりしてくれてもいいのに・・・
あなたの苦しみを、わけてほしいのに。
薄暗い部屋の中、土御門様への報告の電話を待つ。
そのために、瀬良は彼の机に座っていた。
指を組み、肘をついて、うなだれる。
歯噛みして、苦悩していた。
私は、どうしたら本当にあなたの力になれるのですか?
・・・土御門様・・・
「・・・少し、お休みください。後は私が報告等の受理をいたします」
彼女が声を掛けると、土御門様が顔を上げた。その顔を見て、少しだけ表情を和らげる。
「ああ、瀬良ちゃん、そうやな・・・あと、頼むわ」
ヨロリと立ち上がると、執務机の横にあるソファに横たわった。
瀬良は明かりを少し暗くし、その身体にブランケットをかける。
頼ってくれたと、思っていいのだろうか?
・・・いや、多分、違う。
私に気を使ってくれたんだ。
顔をほころばせたのも、大人しく休んだのも。
全部、全部・・・。
ひとりで戦わないでほしいのに。
もっと、私に八つ当たりしてくれてもいいのに・・・
あなたの苦しみを、わけてほしいのに。
薄暗い部屋の中、土御門様への報告の電話を待つ。
そのために、瀬良は彼の机に座っていた。
指を組み、肘をついて、うなだれる。
歯噛みして、苦悩していた。
私は、どうしたら本当にあなたの力になれるのですか?
・・・土御門様・・・

