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天狐あやかし秘譚
第62章 【第15話 黄泉平坂】不知不識(ふちふしき)

思い直して、板書を進めていく。今日取り上げているのは高校受験でよく出る図形の求積問題だった。
「いいか、ここの長さとここが一緒になるから・・・」
「おい!何だあれ?」
「え?なに、なに?」
説明をし始めると途端に教室がざわめき始めた。
全く気を取り直した矢先に・・・
荻野が振り返ると、クラスの半分近くが教室の窓に張り付くようにして外を見ていた。
「おい!お前ら!勝手に立ち歩くな!」
荻野が声を掛けるが、生徒の視線は校庭に釘付けになっているようだった。
一体何だ?不審に思って荻野も外を見てみると、そこには一人の男が立っていた。
男は上半身が裸で、そして、異様に筋肉が発達していた。
そして、その身長は・・・
「なんだ!?あれは!!」
荻野が声を上げたのも無理はなかった。その男は異常にデカかったのである。普段、校庭を見下ろしているときに見える生徒の身長はだいたい頭に入ってる。それから比べると、あの男は、2メートル近くある計算になる。
とにかく、不審者だ!通報しなければ・・・!!
そう荻野が思った瞬間、男がギロリとこちらを・・・正確に言えば、荻野たちが授業をしていた3年A組のクラスを見上げた。その目に怨嗟の炎が燃え上がっているのが遠目にもわかった。
「ひぃ!」
その溢れんばかりの殺気を感じたのか、女生徒のひとりが悲鳴を上げて後ずさった。それを皮切りに教室が一気にパニックになる。
「ば・・・バケモンだああ!!」
「逃げろ!!逃げろ!!!」
我先にと教室の狭い出口に殺到した生徒たちは互いを押し合い、ぶつかり合ってしまう。
「み・・・みんな落ち着け!」
荻野が声を掛けるも、全くパニックが収まる気配はなかった。教室はさながら阿鼻叫喚の地獄であった。隣の教室からも悲鳴が聞こえてきているところを見ると、同じようにパニックを起こしているようだ。
な・・・なんとかしないと・・・
とにかく不審者の動きを確認しなくては、ともう一度校庭を見下ろすと、大男がゆっくりとこちらに向かって歩き出しているところだった。そして・・・
ドン!と大地を揺るがすような鈍い音が響き、一瞬校舎が揺れる。
何が?と思った瞬間、荻野の眼の前に宙を舞う大男がいた。
「いいか、ここの長さとここが一緒になるから・・・」
「おい!何だあれ?」
「え?なに、なに?」
説明をし始めると途端に教室がざわめき始めた。
全く気を取り直した矢先に・・・
荻野が振り返ると、クラスの半分近くが教室の窓に張り付くようにして外を見ていた。
「おい!お前ら!勝手に立ち歩くな!」
荻野が声を掛けるが、生徒の視線は校庭に釘付けになっているようだった。
一体何だ?不審に思って荻野も外を見てみると、そこには一人の男が立っていた。
男は上半身が裸で、そして、異様に筋肉が発達していた。
そして、その身長は・・・
「なんだ!?あれは!!」
荻野が声を上げたのも無理はなかった。その男は異常にデカかったのである。普段、校庭を見下ろしているときに見える生徒の身長はだいたい頭に入ってる。それから比べると、あの男は、2メートル近くある計算になる。
とにかく、不審者だ!通報しなければ・・・!!
そう荻野が思った瞬間、男がギロリとこちらを・・・正確に言えば、荻野たちが授業をしていた3年A組のクラスを見上げた。その目に怨嗟の炎が燃え上がっているのが遠目にもわかった。
「ひぃ!」
その溢れんばかりの殺気を感じたのか、女生徒のひとりが悲鳴を上げて後ずさった。それを皮切りに教室が一気にパニックになる。
「ば・・・バケモンだああ!!」
「逃げろ!!逃げろ!!!」
我先にと教室の狭い出口に殺到した生徒たちは互いを押し合い、ぶつかり合ってしまう。
「み・・・みんな落ち着け!」
荻野が声を掛けるも、全くパニックが収まる気配はなかった。教室はさながら阿鼻叫喚の地獄であった。隣の教室からも悲鳴が聞こえてきているところを見ると、同じようにパニックを起こしているようだ。
な・・・なんとかしないと・・・
とにかく不審者の動きを確認しなくては、ともう一度校庭を見下ろすと、大男がゆっくりとこちらに向かって歩き出しているところだった。そして・・・
ドン!と大地を揺るがすような鈍い音が響き、一瞬校舎が揺れる。
何が?と思った瞬間、荻野の眼の前に宙を舞う大男がいた。

