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天狐あやかし秘譚
第125章 危機一髪(ききいっぱつ)
♡ーーーーー♡
【危機一髪】ぎりぎりのところで危ない目にあわずに済んだりする、きわめて危ない瀬戸際。
髪の毛1本分でもズレてたら死んでたわ・・・みたいな。
♡ーーーーー♡
はあ・・・はあ、はあ・・・
空間が縦に裂け、そこからオキナの身体が転がり落ちるように現れた。ここは『屋敷』の奥の間、普段、緋紅が過ごしている場所だった。今、上段の間には主たる緋紅はおらず、当然だが、いつも、その左右を守っていたスクセ、キヌギヌもいない。部屋は片隅にある行灯の光ひとつでぼんやりと照らされているだけだった。
しばらく荒い息をついていたオキナが寝返りを打つようにうつ伏せになり、なんとか両の手に力を込め、身体を起こそうとする。
しかし、すぐにガクリと崩れ落ちる。先程、交戦した烏丸の『一言さん』の霊力によるダメージに加え、途中で無理やり道返玉の力を引き出し、綾音を攻撃したことで生命力を一気に奪われてしまっていたことで、オキナの身体、精神は極度の消耗状態に陥っていたのだ。いかに適合者とは言え、十分な気を練ることなく力を放てば、やはりただでは済まないのだ。
「ち・・・っくしょう・・・がぁ」
額から冷や汗が流れ落ち、豊かな黒髪がベッタリと肌に張り付く。手足がブルブル震えており、よく見ると唇も青白かった。
「ずいぶんこっぴどくやられたみたいだね・・・オキナ」
頭の上から声をかけられ、無理やりオキナが顔を上げる。そこには、いつの間に部屋に入ってきたのか、緋紅が佇んでいた。その目には哀れみと言うよりも、侮蔑の色を強く湛えている。
「緋紅・・・」
最も見られたくない姿を、最も見られたくないヤツに見られたと感じたオキナは悔しそうに唇を噛んだ。
「その様子じゃすぐに動くのは難しそうだね・・・」
そう言うと、緋紅はろくに動けないオキナのポケットから道返玉だけを抜き取ると、それを自らのジーンズのポケットにねじ込んだ。
「足玉だけあれば十分だろう?」
そう言い残して緋紅は廊下に続く襖を開いて部屋を後にした。その間、オキナには一瞥もくれることはなかったのである。
【危機一髪】ぎりぎりのところで危ない目にあわずに済んだりする、きわめて危ない瀬戸際。
髪の毛1本分でもズレてたら死んでたわ・・・みたいな。
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はあ・・・はあ、はあ・・・
空間が縦に裂け、そこからオキナの身体が転がり落ちるように現れた。ここは『屋敷』の奥の間、普段、緋紅が過ごしている場所だった。今、上段の間には主たる緋紅はおらず、当然だが、いつも、その左右を守っていたスクセ、キヌギヌもいない。部屋は片隅にある行灯の光ひとつでぼんやりと照らされているだけだった。
しばらく荒い息をついていたオキナが寝返りを打つようにうつ伏せになり、なんとか両の手に力を込め、身体を起こそうとする。
しかし、すぐにガクリと崩れ落ちる。先程、交戦した烏丸の『一言さん』の霊力によるダメージに加え、途中で無理やり道返玉の力を引き出し、綾音を攻撃したことで生命力を一気に奪われてしまっていたことで、オキナの身体、精神は極度の消耗状態に陥っていたのだ。いかに適合者とは言え、十分な気を練ることなく力を放てば、やはりただでは済まないのだ。
「ち・・・っくしょう・・・がぁ」
額から冷や汗が流れ落ち、豊かな黒髪がベッタリと肌に張り付く。手足がブルブル震えており、よく見ると唇も青白かった。
「ずいぶんこっぴどくやられたみたいだね・・・オキナ」
頭の上から声をかけられ、無理やりオキナが顔を上げる。そこには、いつの間に部屋に入ってきたのか、緋紅が佇んでいた。その目には哀れみと言うよりも、侮蔑の色を強く湛えている。
「緋紅・・・」
最も見られたくない姿を、最も見られたくないヤツに見られたと感じたオキナは悔しそうに唇を噛んだ。
「その様子じゃすぐに動くのは難しそうだね・・・」
そう言うと、緋紅はろくに動けないオキナのポケットから道返玉だけを抜き取ると、それを自らのジーンズのポケットにねじ込んだ。
「足玉だけあれば十分だろう?」
そう言い残して緋紅は廊下に続く襖を開いて部屋を後にした。その間、オキナには一瞥もくれることはなかったのである。

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