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天狐あやかし秘譚
第117章 献身奉仕(けんしんほうし)
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【献身奉仕】見返りを求めず、心身を捧げて他者に尽くすこと。
自分の身を捧げて人のために尽くすぞ・・・みたいな。
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【オキナが沙織を徹底的に調教し続けている頃・・・鞍馬山にて】

天狐ダリは来るだろうか・・・。

鞍馬山の奥、人が滅多に訪れることのない場所に、この古い測候所の廃墟はあった。今回の計画を立てた際にここを使うと決めていたので、最低限数日間は不便なく過ごすことができるインフラは整えられていた。

私がいるのは鞍馬山にある測候所跡だった。掃除はしてもらったものの、コンクリート打ちっぱなしの簡素な部屋はがらんとしているし、決して居心地の良いものではない。そんな部屋に置かれた古ぼけた事務机の前の椅子に座り、水無は窓の外を見ながら考えごとにふけっていた。

右手に目をやると、椅子に縛られたままの陰陽師二人・・・確か宝生前と御九里と言ったか?が、うなだれた姿勢で座っていた。

彼らは今、水有の持つ神宝『辺津鏡』の力で夢を見させられている状態だ。しかも、術者である水有は、この状態に陥った者を意のままに操ることができる。それが神宝、辺津鏡の力だった。

現在は何も命じられていないのでただ単に眠っているように見えるが、水有に言って私の命令でも動くようにしてもらっている。いざという時は、こいつらも天狐を倒す上で役に立つだろう。

そして水有自身には万が一のことを考えて、『屋敷』に帰るように言ってある。

・・・後は、天狐が来るのを待つ・・・だけだ。

唇をギュッと噛んだ。

本当は昨日彼らが乗り込んできた段階で、私の神宝で天狐の『死』を確定できればよかった。しかし、あの時の私の視える範囲に天狐の『死』は存在しなかったのだ。

やはり強力な存在を『死』なせるためには、尋常ではないほどの力が必要なんだ・・・。

悔しいが、私の力だけでは天狐を殺すのは無理だということだ。奴を殺すには、別の方法を取らなくてはいけない。本当は別の神宝使いの力を借りたいところだが、今回のことはもともと『私ひとりでやる』という条件で緋紅様に許可をいただいた計画だ。他の神宝使いを頼ることはできない。

そしてもちろん、妹に頼ることはもっとできない。
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