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天狐あやかし秘譚
第114章 天道是非(てんどうぜひ)
ダリが舌打ちをしつつ、槍でSUKUSEに突きかかる。
SUKUSEはまるでそれを予見していたかのように、最小限の動きで右手に身を躱した。

「っ!?」

躱されるタイミングではなかったはずだ。
私も驚いたが、突きを放ったダリはもっと驚いた様子を見せた。
それこそまさに、『未来を視ていなければできない芸当』と言えた。

「私は鞍馬山にいるわ・・・
 大切な人、失いたくないでしょ?
 ふふふ・・ふふ・・・」

おもむろに空間に縦に亀裂が入る。
その虚ろが穿つ闇の中に、するりとSUKUSEが滑り込んでいった。

「私の名はスクセ。
 さあ、来なさい天狐・・・
 私があなたの・・・息の根を止めてあげるから」
「待て!」

追いすがるダリの手が空を切る。一瞬、スクセが亀裂に吸い込まれる方が早かったのだ。
空間の亀裂が無情にも閉じていく。

ペタリと私はその場に座り込んだ。
そう、私は視てしまったのだ。

青白く光る鏡面の中、『私自身』が崖から落ち、尖った岩に頭を激しく打ち付けて、死んでいく様子を・・・。
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