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天狐あやかし秘譚
第97章 【第19話:地狐】温慈恵和(おんじけいか)
☆☆☆
【3日前・東京・綿貫亭】

「ええ!?お母さん、こっち来ると!?」
6月に入ったばかりの綿貫亭の午後、スマホから聞こえた台詞に我が耳を疑い、ついお国言葉が口をついて出る。

黄泉平坂で負わされた怪我(というか、一回死んだのだが・・・)も長期間の療養をさせてもらえたおかげでだいぶ癒えて、日常生活にも仕事にも支障がなくなったと感じはじめていたところだった。ある日、不意に鳴ったスマホに出ると、実家の母親がいつもののんびりした口調で私に驚きの事実を告げたのだった。

『母さんな、6月に仕事1週間、休みが取れたけ、綾音の新居を見てみたいんよ』

口調はゆっくりしているが、申し出は急だった。その言葉は耳から脳に到達しているのだとは思うのだが、あまりのことに私の頭脳が情報の処理を拒否したらしい。目の前が一瞬、真っ白になった。

え・・・っ!?

目の前のダイニングテーブルでは『転生妖怪』の清香ちゃんがクレヨンでグリグリと楽しそうにお絵かきをしている。彼女の正面の椅子には、この間の誕生パーティで陰陽寮のみんなからプレゼントされた巨大なくまのぬいぐるみが座らされており、まるで二人で向かい合ってお絵かきをしているかのように見える。

清香ちゃんは、このくまのぬいぐるみに『くーちゃん』と名をつけ、自分の妹だと言わんばかりに文字通り肌身離さずにかわいがっているのだ。その様子はほんっとーにかわいい♡

そして、彼女の背後のソファでは、『化け狸』である芝三郎が、小学校低学年の男子の姿に化けた状態で寝っ転がってテレビを見ている。彼は最近、恋愛ドラマにハマっているようで、何が面白いのか、平凡なOLと性格の悪いイケメン医師との恋物語を食い入るように見ているのだった。その隣で『大妖怪・天狐』ダリが、ゆったりと腰を下ろし、横目で同じテレビ番組を見ながら、この間のパーティで土御門たちが持ってきた大吟醸の日本酒を満足そうに舐めていた。

和室に目を転じると、赤い和服を着たこの家の『屋敷神』桔梗がふわりと宙に浮き、目を閉じて眠っている姿が見えた。

ここに・・・来るの?お母さんが?
いやいやいやいや・・・ま、まずいでしょっ!
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