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天狐あやかし秘譚
第97章 【第19話:地狐】温慈恵和(おんじけいか)
【第19話 地狐】

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【温慈恵和】優しく憐れみ深く、恵み、大切にすること。
母の愛は海より深いのよ・・・みたいな。
♡ーーーーー♡

【北九州・福岡空港】

空はどんよりと梅雨空で、今にも泣き出しそうだ。それでも九州の玄関口である福岡空港は多くの人が行き交い、賑わっていた。電光掲示板の前には、自身の乗る便が【搭乗開始】となるのを待つ人や、遠方よりやってくる待ち人がいつ到着するのだろうかとソワソワしながら表示を確認している人たちで人だかりができていた。

「ままー!飛行機いつ来るの!?」
「そうね・・・おばあちゃんの家は北海道だから・・・ほら、リカちゃん、あの札幌っていうの・・・ええっと上から3番目?あれ、あの飛行機よ」

どうやら、田舎からやってくる祖母を迎えようとしているのだろう。30代前半くらいの若い母親と5歳くらいの小さな女の子が刻々とその表示を変える電光掲示板を見上げていた。

「もうすぐ着く?」
よほど祖母の到着が待ち遠しいのだろう。リカと呼ばれた女の子はワクワクとした声で母親に尋ねた。女性はさっきから何度聞くのかしら・・・などと自らの母をそれほど好いてくれる愛娘を、微笑ましく思いながら、また変わろうとしている掲示板に目を凝らした。

「そうね・・・あら?」

その時、異変が起きた。
電光掲示板が一斉に意味をなさない文字を表示し始めたのだ。まるでパソコンで開けないファイルを開こうとしたときに起きる『文字化け』のようだった。

「まま、どうしたの?」
周囲の人達も異変に気づきだし、ざわざわとし始める。次第にその喧騒は広がっていき、手荷物検査窓口では係員が説明に追われている様子が見て取れた。

『福岡空港をご利用の皆様にお知らせいたします
 現在、空港のシステムトラブルのため、大変ご迷惑をおかけしております
 トラブルの影響で、発着便が予定時刻より大幅に遅れる可能性がありますことを深くお詫びいたします。個別の便に関する詳細事項につきましては、大変お手数ですが空港スタッフかインフォメーションカウンターまでお問い合わせいただくようお願いいたします』

繰り返しご案内いたします・・・と、同じ放送が何度も、何度も繰り返される。
あちらこちらに立つ空港スタッフは四方八方から質問攻めに遭い、携帯片手に対応に苦慮している様子だった。
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