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天狐あやかし秘譚
第75章 生離死絶(せいりしぜつ)
☆☆☆
土門と左前がすぐさま緋紅のものと思われる血痕を追っていったが、血痕は森の中、天乙貴人の領域を出たあたりでパタリと途絶えていた。

おそらく、虫に紛れて領域内に侵入したシラクモが身動きが取れない緋紅を引きずるように移動、そして、天乙貴人の領域を抜けたところで道返玉を使って、揃って鬼道内に逃走したもの、と考えられた。

麻衣はというと、これも推測にすぎないが、身体の何処かに品々物之比礼で作られた『道返玉もどき』を埋め込まれていたのではないかと推察された。そもそも、敵方は麻衣が奪われる可能性に最初から備えていたのだ。

おそらくこう言ってあったのだろう。

『もし、君が『陰陽寮』の人たちに捕まってしまったら、僕が迎えに行くから。僕が迎えに行ったら、この玉の力を使って鬼道の中に逃げるんだよ』

通常の人間が鬼道に入れば長く保たない。そこで身体や意識を保てるのは異形のものか、はたまた『道返玉の適合者』のみである。緋紅が適合者だとすると、彼は鬼道に飛び込んだ麻衣が鬼道内の瘴気に侵される前にそこからサルベージして確保する・・・そういう手筈だったのだろう。

「畜生がっ!またやられた!!」

ダン、と土御門が苛立たしげに廃ホテルの壁を拳で叩く。叩いても仕様のないことなのだが、そうせざるを得ないほど、悔しさが込み上げていた。

結局、緋紅の策略は功を奏し、陰陽寮側はまたしても敗北を喫することになったのだ。
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