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天狐あやかし秘譚
第74章 比翼之鳥(ひよくのとり)
唇も、胸も、そして、心も、みんなみんなひとつになっていくような錯覚を覚える。
ダリが優しく腰を動かすと、さざなみのような快感が体の奥から湧き上がってくる。優しく突かれるたびに、その波が重なり合って大きくなって、体の奥を揺らして、高まって・・・

いつしか私は湿った声を止められなくなっていた。
ひと突きされるごとに、大きくなる女の声。

最初は吐息混じりに、そのうち、彼の動きに合わせたリズミカルな喘ぎに、次第にコントロールが効かなくなって、彼のなすがままに声を上げる。

「あっ・・・♡あっ♡あっ♡あっ♡・・・ん・・・んあ♡・・・いい・・いい・・・もっと・・・もっとお願い・・・あっ♡あっ♡あっ♡・・・ん・・んくぅ・・・ん」

子宮が揺らされ、身体中が震えだす予感に脳が痺れ、くらくらする。
彼のモノが身体の中でひときわ大きく膨らみ、震える。それに合わせて、私の中の快感も、弾けていった。

「ん・・・あっ・・・くぅ・・・ああっ!」

脳に火花が散る。背筋から立ち上るゾクゾクするような気持ちよさに身体中が震え、力が入っているのか入っていないのかすらわからなくなる。何かにしがみついてないといられないような不思議な浮遊感を感じ、私は夢中で彼にしがみついた。

ドクン・・・
 ドクン・・・

大きくふたつ、身体の中で『彼』が跳ねた。温かい精が私の深奥を叩く。

満たされる・・・満たされていく・・・。
身体も、心も、何もかも。

温かな精を受け止めながら、私はまた涙を流していた。

「綾音・・・」
「ダリ・・・」

口づけをする。身体を交わす。心が通う。
こんなにも、満たされる。
こんなにも、愛されている。愛している。

あなたに・・・あなたに会えて本当に・・・本当によかった・・・。

身体が深くつながったまま、私達は何度も何度も、唇を重ねた。
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