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ママ活
第9章 《最終章》病める時も健やかなる時も、ママと


 こんなになってるよ、いっぱい食べちゃうよ、とおどけた調子で、佳歩が濡れた指を彼女自身の口に含んだ。

 淫靡な音が、明咲の頬に熱をもたらす。


「愛してるの」


 佳歩が、今また明咲の唇を舌で割った。

 消え入りそうな彼女の声がこぼれ出す。


「拒んでよ」

「んっ、あッ……どういう、っ……」

「明咲ちゃんが拒絶してくれなくちゃ、このまま一生、離さなくなるよ」


 比喩ではない、そのままの意味だ、と彼女の指が代弁していた。

 ゆるやかな快楽の海に明咲を誘い出しながら、彼女の愛撫は核心に触れない。焦らして焦らして、このひとときを永遠に繋げようとでもしているのか。

 もっと奥まで、彼女が欲しい。
 狂おしいほど乱されて、これ以上にないほど自身を知られて、壊されたくなる。

 そうした欲望が奥深くで疼きながら、その先はどうするつもりか、と理性が明咲を咎めてくる。


「痛かった、でしょ……」


 どんな思いに対するのでもない感情が、明咲の口を衝いて出た。
 片手を佳歩のおとがいに添えて、ほんのり染まった唇の端より少し離れた辺りにキスする。柔らかな頬を唇で触れて、明咲は彼女の心なしか腫れたそこに口づけていく。


「ん、んン……ぁっ、明咲ちゃんッ、んんっ……」


 薄いガラスの破片を拾い集めていくつもりに似たキスは、贖罪だ。

 いや、明咲が佳歩に謝るのは、違う。ましてこれほど真摯な愛を向けてくれている彼女の前で、自分を下げてはいけない。それは、彼女の想いや時間まで否定することになる。
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