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第29章 『ロールプレイングの下準備』

僕は…真奈美ちゃんとは……
その日が来るまでは…深い仲に
なるつもりはないし…。
真奈美ちゃんにもその旨は伝えている。

ある意味…僕と真奈美ちゃんとの
最後の砦的な…もの…ではある。

寝室に移動すると、ベッドの端に
申し訳なさそうに真奈美は座っていて。

ちらちらとある場所を見ては
僕の顔と交互に見比べて来る。

真奈美の言いたい事は…分かる
ここにあった萌花の…写真を
どこにやったのかと聞きたいのだろう。

「あの…仁さん…奥さんの写真…は…」

『萌花の写真は…移動させたんだ…』

こっちと…リビングに仁が移動すると
その後ろを真奈美がついて来る。
リビングの棚の上に置き型の
小さな仏壇が置かれていて。
扉を閉めて置けば色合いも
ナチュラルなウッド素材で
仏壇には見えない感じだ。

仁がその小さな仏壇の扉を開けると
その中にあの時にみた
幸せそうな笑顔の女性の写真があって。

あの時に感じた気持ちは…
同じ写真を見ても不思議と
真奈美は感じなかった。