この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第11章 瑞月の決意

振り返り食ってかかろうとした刹那、柔らかななにかに包み込まれたような感覚に驚いた。
「ごめんなさい」
「五月女さん……?」
「私は涼一さんを、虜にしたかったのだと思います」
俺を抱きしめながら、彼女は耳元で言った。
「どうして、そんな?」
「自分でもわかりません。でも、もしかしたら涼一さんと同じ」
「同じ?」
五月女さんは、そっと頷くと。
「涼一さんは、お父様のこと、どう思ってますか?」
「それは……凄い人なんだろうと思います。だけど、あの人はいつも自分のことばかりで、きっと俺のことなんて付属品のようにしか思ってないんです。僕は、あの父親で良かったと思ったことは一度も……」
「……」
「一人暮らしをしたいなんて言えば、こんな家を与えられる。そんな奴がなにをって思われても仕方ないですね」
「いいえ……涼一さんが、そう感じたことに偽りはないと思います。そして、私もあの方には、只ならぬ想いがあります」
「それは、どんな?」
「もちろん感謝もあります。故に、とても複雑で一言で言い表すことは難しい。だから失礼ながら、涼一さんの想いとも通じるところがあるのかと」
「どうして、あの人の元で?」
「それは……」
その時、五月女さんの身体が、ピクリと強ばったのが、わかった。

