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第11章 瑞月の決意

「あの子の名前、教えてもらえませんか？　今は無理でも、いつか謝りに行きたい」

「今回の件は、お父様の一番信頼の置ける方が、動かれております。お任せして、間違いありません。それに、お相手の意向もございますから」

「そう、ですか……そうですよね」

「今回の一件、涼一さんが引き起こしたことではありません。彼女の回復を祈るお気持ちはごもっともですが、あまりご自分を責めてばかりいてはいけません」

「そうかもしれません、でも……今のところ、僕が僕を許さないんです。成り上がり者のその息子が、一体なにをって……自分なんて、なにもないのに」

　その時、五月女さんはポツリと呟いた。

「あなたは、まだ子供だから」

「え？」

「ご自分でも、そう言っていたのではありませんか？」

「そうです、けど」

「だったら、大人のせいにできる部分は、大人のせいにしてしまえばいい。自分を責めて俯いて立ち止まっているくらいなら、前を向いて進んで早く大人におなりなさい」

　淡々と話していた点では同じだけど、それは今までの五月女さんと明らかに異なる語り口だった。

「あらゆるサポートはしましょう。私を利用すればいいのです」

　以前と同じようなことを言われたと感じ、俺はカッとなった。

「また、そんなことを言って！　あなたは僕を、一体どうしたいんですか――!?」