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100のベッドシーン
第17章 その瞳の奥に、恋を落とした夜
その日は朝からどんよりした空で、昼過ぎには本格的に降り出していた。

夕方、客先からの帰り道、傘を持たなかった私は、駅までの道を小走りで駆けていた。

髪もスーツも濡れていく感覚に、なんだか泣きたいような気持ちになっていた。

人混みに紛れて歩いていると、目の前に傘が差し出された。

紺色の大きな傘。

ふと顔を上げると、そこにいたのは──

「神崎先輩。びしょ濡れじゃないですか。」

桐谷悠真だった。

相変わらず、子犬みたいな優しい目で私を見ている。

「……なんでここに?」

「先輩、今日あのクライアントに行くって言ってたから。雨だし、きっと傘持ってないだろうなって思って。……勝手に来て、すみません。」

そう言って、彼は笑った。
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