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熱帯夜に溺れる
第4章 酔芙蓉の吐息
 プリンを食べ終え、市販の風邪薬を渋い顔をして飲み込んだ莉子は純が取り替えた冷たい氷枕に頭を沈めた。手のひらでそっと触れた額からは熱が放出している。

「今日はずっとここに居るからね」
「ほんとう? ずっと居てくれる?」
「うん。ずっと側にいる。だから安心して眠りなよ」

 汗でかすかに湿った前髪を優しく梳いて、彼女を安心させるように撫でてやる。次第にうつらうつらとしてきた莉子が完全に瞼を下ろしたのを見届けて、純はベッドの側の座椅子に背を預けた。

 背もたれの部分がハートの形になった薄ピンク色の座椅子はピンクとラベンダーの色合いで統一された莉子の部屋に似合っている。

 莉子の寝息が聞こえ始めた頃、彼は持参した文庫本を開いた。スーパーで購入したアイスコーヒーとサンドイッチを供にして、しばし読書の世界に旅立つ。

 ベッドからは時折、莉子の苦しげな寝息が聞こえてくる。そのたびに本から視線を離して莉子の様子を確認し、また本の世界に戻る。

 何度目かの苦しげな寝息にまた純は視線をベッドに向けた。「ぅ……んん……」と唸り声をあげた莉子が寝返りを打った。横向きに寝そべる莉子はアザラシのぬいぐるみを抱きかかえている。

 あのぬいぐるみは今月始めに水族館に行った際に純が買ってあげた物だ。そしてその日は莉子と初めて身体が結ばれた日でもある。

 アザラシのぬいぐるみは、あの日の純と莉子のセックスの一部始終の目撃者でもある。そんな甘い記憶に直結する物を視界に入れたせいもあっただろう。

 純の視線は寝返りを打ったことでタオルケットからはみ出した莉子の生脚に釘付けになっていた。ワンピースタイプのパジャマは裾がめくれ上がり、莉子の脚線美が純の前に惜しみなく晒される。

 ほどよく筋肉がついて引き締まった細い脚は古臭い表現になるが、ピチピチとした若さに溢れていた。
 あの滑らかな白い肌に触れたい、太ももの柔肌を撫で回して吸いつきたい……次々と湧いて出てくる欲情の気配を理性で抑え、彼女の脚に触れそうになった手を寸前で引っ込めた。

(莉子が熱で苦しんでいる時に何を馬鹿なことを考えているんだ……)

 莉子と身体を重ねる以前から、莉子に触れたいと思う衝動は純の心の奥に燻《くすぶ》っていた。
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