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爛れる月面
第1章 違う空を見ている
 それを悟られないよう、睫毛を伏せて下方を見やり、

「脱いであげた甲斐あるね。なんかさっきからヌルヌルしてんのが垂れっぱなしだ」
「や、その……」
「私のカラダ、そんなに興奮するんだ? ママに言った通りだ」
「ご、ごめん……」
「……変態」
「うう……」
「ほら、また出てきた」
「ク……、クミちゃん、もう……、これ以上は、無理だよ」

 しかし紅美子は首を傾げ、間近まで顔を迫らせると、

「だめ。最後までして」
「そ、そんなっ……」
「このまま見ててあげるから」
「だって、せっかく、クミちゃんがいるのに……」

 頬を両側から挟み、唇を吸って黙らせる。

「はやく」

 そう告げて身を起こすと、右手は激しく幹を上下し始めた。

「いいよ、徹。そのまま、最後までね」
「ううっ……、ク、クミちゃんっ……」
「出る? ダメだよ、目開けて。私のほう見て」
「う……、あ……」徹は落ちそうになる瞼を必死に上げて紅美子を見つめ返そうとしていたが、「うああっ!!」
「わ……」

 白弾は、想像を遥かに超える猛々しさで撃ち上がり、徹の首元にまで届いた。二度、三度と迸っても勢いは落ちず、高々と噴き出してくる。紅美子が驚きと悦びを覚えながら見守っていると、うろ声で永年の呼び名を口にしながら脈発を続けた徹は、トロトロと樹液を垂らす肉幹を握ったまま萎むように脱力していった。

「すご、いっぱい出た。いつもこんなに出してんの?」
「う……、お、多い、……かも……」
「多いんだ? なんで?」
「ク、クミちゃんに……、こ、こんな近くで、見られてた、から……」
「私に見られるといっぱい出ちゃうんだ。ほんと、変態だ」
「ん……」

 揶揄してやっても、息荒く恍惚としている徹の反応は薄く、甚だ不満だったから、

「ひっ……!」
 拳から頭を出している傘の縁を爪で軽くなぞり、「うっ、あっ! ク、クミ、ちゃんっ……」
「ピクピクしてる」
「ま、待って……、ま、まだ、うっ……、敏感に、なってる、から……」

 滅多に触れてやることのない肉茎が、もう先から飛ばすものはないのに弾んでいる。いくら悶絶しようが突き飛ばされることなんてことはありえないと確信しつつ、より敏感な場所を探し、先端の裏側を指腹で下から上へと辿ってやると、徹の背が大きく反った。
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