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爛れる月面
第2章 湿りの海

間断なく脚の付け根を弄られて、息を詰まらせながら言うのが精いっぱいの紅美子に対し、落ち着き払って真下から一瞥した井上は、髭の端を曲げたかと思うと、爪を立てて容赦なくストッキングを引き裂いた。
「はっく……!」
すかさず、揉み解していた手が、ショーツのクロッチを押しのけて、割れ目から中へと挿ってくる。
「どうした? 『ちがう』って言わないのか?」
臍の下に手を添えられて、冷たい壁に腰を押し付けられる。悪辣な指先が、もはや充分な蜜を纏ってしまっている襞を撥ねさせる。紅美子はついに携帯をも落とし、自分の口を塞いだ。倒れないように肩につく手、声を押し殺す手。二本では足りない。両耳も塞ぎたい。股奥の音は、トイレの空調の唸りに混ざり、はっきりと宙に放たれるようになっている。
髪を前に垂らし、その中に隠れるようにして固く瞼を閉じていると、
「……やっぱり夢じゃなかったな? そうだろう?」
胸中まで貫き通すかのような、足元から、大きくはないのに通る声が立ち上ってくる。髪を横に揺らす紅美子に構うことなく、指が抜かれ、半歩、サンダルの間隔を横に広げられた。
正面から、脚の間へと井上の顔が迫ってくる。
「う……、や……」
「すごいな。こんなイヤラしくしといて、嫌も何もないだろ」
捩れた下着もろとも、種実を吸われた。嫌悪感とはほど遠い快美が背を抜ける。顔を仰向けるや、真下へ向けて蜜が迸った。ジュルッ……吸い取られていくのが、囲まれた個室だと、より鮮明に聞こえてくる。くつろげられ、漏れ出た肉弁をはまれると、膝が折れそうになって、井上の顔に体重がかかった。体勢も、媚肉を熔かすような甘楽も、星空の窓の前で味わったはずのものと……変わらない。
「はっく……!」
すかさず、揉み解していた手が、ショーツのクロッチを押しのけて、割れ目から中へと挿ってくる。
「どうした? 『ちがう』って言わないのか?」
臍の下に手を添えられて、冷たい壁に腰を押し付けられる。悪辣な指先が、もはや充分な蜜を纏ってしまっている襞を撥ねさせる。紅美子はついに携帯をも落とし、自分の口を塞いだ。倒れないように肩につく手、声を押し殺す手。二本では足りない。両耳も塞ぎたい。股奥の音は、トイレの空調の唸りに混ざり、はっきりと宙に放たれるようになっている。
髪を前に垂らし、その中に隠れるようにして固く瞼を閉じていると、
「……やっぱり夢じゃなかったな? そうだろう?」
胸中まで貫き通すかのような、足元から、大きくはないのに通る声が立ち上ってくる。髪を横に揺らす紅美子に構うことなく、指が抜かれ、半歩、サンダルの間隔を横に広げられた。
正面から、脚の間へと井上の顔が迫ってくる。
「う……、や……」
「すごいな。こんなイヤラしくしといて、嫌も何もないだろ」
捩れた下着もろとも、種実を吸われた。嫌悪感とはほど遠い快美が背を抜ける。顔を仰向けるや、真下へ向けて蜜が迸った。ジュルッ……吸い取られていくのが、囲まれた個室だと、より鮮明に聞こえてくる。くつろげられ、漏れ出た肉弁をはまれると、膝が折れそうになって、井上の顔に体重がかかった。体勢も、媚肉を熔かすような甘楽も、星空の窓の前で味わったはずのものと……変わらない。

