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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 54 松下律子秘書(1)

 彼、大原常務と少し話したかな、と思ってチラと見ていたら、蒼井美冴が、今度は、こっちの席に来た。

「なんか、かなり、盛り上ってるみたいじゃないのぉ?」
 そして、そう話し掛け…

「あ、美冴さん、だってぇ、この杉山くんが、まさかの一橋大学卒って訊いてぇ」
 と、武石健太が彼女に話す。

 やはり、このこの二人の雰囲気は、間違いなく付き合っているみたい…

「ええっ、杉山くんてぇ、一橋大学卒なのぉっ?」

「あぁ、やっぱりそうなりますよねぇ」
 と、蒼井美冴が驚くと、伊藤敦子がそうおどける。

「うわぁ、もぉ、美冴さんまでぇ…」
 と、杉山くん。

「いやぁ、だってぇ、杉山くんが一橋大学卒なんてぇ……ねぇ、松下さん…」
 今度は、蒼井美冴が、わたしに振ってきた。

「えっ、あ、あぁ、はい…」
 実は、さっきからわたしたちは…
 この話題で盛り上っていたのである。

「うわぁ、そんなぁ、松下さんまでぇ、それはないっすよぉ」
 だけど、この杉山くんの明るいキャラクターは、まるで…
 男性版の越前屋さんそのものに、わたしは感じていた。

 本当に明るく、楽しく、どうやらわたしの元に、挨拶がてら訪れたらしいのだが…
 その、彼の魅力的なキャラクターによって、やや、緊張気味であった、武石健太と伊藤敦子の二人まで、瞬く間に和ませたのである。

 また、この伊藤敦子は、越前屋さんと同期で、友達らしく…
 いや、まったくこの二人へ正反対なキャラではあるのだが、この杉山くんというキャラクターによって、アッという間に、和んでしまったのだ。

 そして、もちろん、警戒心たっぷりのわたしも、いつの間にかに、この三人と和み、楽しく会話を交わしていたのである…
 それは、越前屋さんと同じように、人の空気を変えてしまうマジックみたいであった。

 ついこの前、ふと、彼、大原常務が呟いていた…
『意外とこんな越前屋みたいなタイプが、天下を取るんじゃないのかなぁ…』
 を、正に彷彿させるキャラクターと、存在感ともいえる。

 だから…

 さっきまでの、いや、この飲み会に参加する本来の、わたしの佐々木ゆかりに対する敵対心丸出しの勢いと、狙いが…

 この杉山くんによって、すっかり殺がれてしまっていた―――



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