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シャイニーストッキング
第21章 もつれるストッキング5   美冴
 46 甘い…

「あ…そ、そうだな……」
 そう、私はネクタイさえも外してはいなかったのだ。

 美冴は絶頂感の余韻に浸りながらも、そんな私に艶気のある笑みを浮かべ、そしてネクタイを外そうと胸元に手を伸ばし、頭を寄せてきた。

「ほら、外してあげるわ…」
「あ、う、うん…」
 そう囁く美冴の頭からは甘いムスクの香りが微かに漂い、私の心を酔わせてくる。

「趣味のいいネクタイね…」
 美冴は器用に結び目をほどきながら、そう囁く。

「そ、そうか…」
「ええ、いつもセンスいいなって思ってたわ…」
 そんな言葉に心が複雑に揺らいでしまう…
 実はネクタイに関しては、ほぼ全部といってよい程に、離婚した妻の趣味のセレクトだったから。

『ネクタイはね…アナタに首ったけって意味があるのよ』
 昔、元妻は良くそんなことを云っていた。

 不意に彼女の顔が浮かぶ…

「あ…ぁ…うん…ふぅん…そう……か…」
 だが…
 ネクタイをほどき、シュルっと外した美冴は顔を上げ、なんとなく意味あり気に呟いた。
 その呟きに、私はふと美冴に意識を戻す。

「え、あ、いや、ネクタイは………」
 その意味あり気な呟きに、もしかしたらこのネクタイのセレクトが、ゆかりか律子によるモノと思われたかもしれないと感じ、慌てていいわけしようかとすると…
 
「うぅん、いいの…」
 と、美冴は謎に囁き、まるで口を閉ざすかの様に唇を寄せ、キスしてくる。

「ぁ………」
 そしてそのまま、私に寄りかかり、スッと唇を外すと、再び胸元に顔を寄せながら…

「脱がせてあげるわ…」
 と、ワイシャツのボタンを外しにかかってきた。

「ふうぅ、ふうん…」
 そしてボタンを外しながら、鼻先を寄せ、そんなため息とも吐息ともつかない囁きをもらしてきた…
 そんな仕草に、なぜかドキドキしてしまう。

「ふうぅ……」
 再び、そんな吐息を漏らしながら、美冴は器用にワイシャツのボタンを外し…
 
「本当に、甘いわね……」
 と、濡れた目を向け、囁く。

「あ……う……」

 甘い…

 それはゆかりも、律子も口にする…
 私の体臭…

 そしてこの美冴も…

 三人の女たちが皆そう云う、私の体臭の匂い…

「少し……混ざってるけど……ね………」

 そしてこの意味あり気な囁きに…

 ドキっとしてしまう。

 混ざってるって?



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