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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4     律子とゆかり
 97 トライアングルブルー(5)

「ええとぉ、SEの中島さんによりますとぉ…………………………」
 
 そんな越前屋によって弱冠の空気感が変わった、いや、緩んだ感じがしてきてはいるのだが、彼女の説明を聞いている最中は正に針の筵に座っているかの様な心境であり、そして意識は殆ど上の空となってしまっていた…
 そして基本的には越前屋を中心に視線を合わせ、適当に相槌を打っていた。

 なぜなら、佐々木ゆかりと蒼井美冴の二人には目が合った瞬間に心の中まで読み取られてしまうようで…
 とても視線を合わせられないから。

 だからといって、対面に美冴、ゆかり、越前屋と三人が並んで座っている訳であるから、横や後ろを向くわけにもいかず…
 結果的にはそんな逃げの心境からもあり、殆ど、いや、ほぼ越前屋の顔を見つめるしかなかったのである。

 だが、そんな中で少しだけは、いや、一瞬の一瞥程度はその二人に顔を向けたりはしていた…
 すると、なんとなくだが、最初の頃に感じたゆかりの暗く絶望的で焦燥感さえ感じられた目の色がやや明るさを取り戻している様に感じられ、そして、呆れ気味な律子の視線も少しだけ柔らかくなった様にも見受けられる、いや、気休めなのだろうが、そう感じられたのだ。

 いや、違うかも…
 二人は私の傍らに座っているこの松下律子秘書の事をチラチラと見ている…

 いいや、違う…
 なんとなく観察している様に見えるのである。

 間違いない…
 この秘書の…
 ゆかりや美冴に匹敵する美人秘書という律子を…
 観察している様なのだ。

 だが、やはりゆかりは…
 私に対してはそう簡単に目を向けてはくれないでいた。

 そしてそれは私に対する疑惑の揺らぎの想いの顕れといえ、自業自得なのではあるが…
 私の弱い心を不惑な想いに落としてくるのである。

 そう私は弱いのだ…

 やはり尖るなんてそう簡単には出来やしない…

 いや、尖れない…

 


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