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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
ホームセンターと百均もよってから桃華の家に戻ったので、ずいぶん遅くなってしまった。
「なかなか帰って来ないから、一万持ち逃げされたのかと思った」
「し、しませんよ、そんなこと……っ。それじゃ泥棒です」
秋広は慌てた。
「てかどんだけ買ってきたの? 食材買いに行ったんじゃなかったの? ……何? その袋」
桃華に問われ、秋広は両手に提げた買い物袋を交互に見やる。
スーパー、ホームセンター、百均。違うロゴが見えている。どう見たって食材じゃないものも多く、しかも袋を全部で六個も提げているのだから、そりゃ、なぜ、ともなる。
「その……えと、すみません。調理器具も無いのかなと思い、ホームセンターに寄ったり百均に寄ったりしていたら、なんか便利そうなグッズもあり、いつの間にかこんな量に……」
「…………金、足りた?」
「はい、ジャストでした! ……がすみません、必要ないものは僕が買い取りますので! ……勝手にいろいろ買ってしまってすみません……っ」
秋広は袋を広げて見せようとするが、何せ六袋もあるのだ。どれから広げたら良いのか。
「とりあえず入れば?」
「あ……はい。お邪魔します」
部屋の中へと引っ込む桃華。秋広もそっと、中に足を踏み入れた。
「ちょっと置かせていただきますね」
キッチンスペースはとても狭い。二キロの米や鍋などもあって重かったので、とりあえず置かせてもらう。
桃華は六個の袋の中をざっと見て、言った。
「全部使うよ。調理器具なんも無かったから助かった。ありがとう」
「あ……はい」
面と向かって礼を言われ、秋広は照れたように視線を逸らした。
桃華はたまに、じっと目を見てくることがある。癖なのか、事務所で言っていたように、秋広の発言が本心かどうかを探っているのだろうか。
「じゃ、昼よろしく」
「は、はい!」

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