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飛べないあの子
第5章 EpisodeⅤ
返事をしない母の肩を望が揺らす。
「ほら!今から中華食べに行くんだよ!今日はお母さんへのお詫びにいつもより良いお店にしようって凛が言ってくれたんだから。お母さん、中華好きでしょ?そんな態度じゃ、せっかくの高級中華がまずくなるって」
本当は姉からの提案だったが、姉は気を使ってそういうことにしてくれていた。
もっとも食事代は凛持ちなので、そう言ってもらえる権限はあるのだが。
「・・・・・・わかったわよ。凛、お帰り」
母はすねた子供のように言った。
姉と目を合わせて苦笑する。
中華料理店は確かにいつも行く店より高級な店だった。
高級なものが大好きな母はすぐに機嫌が良くなった。
「ほんとに凛がご馳走してくれるの?あなたお金大丈夫?」
「大丈夫だよ。好きな物頼んで」
年末年始、わざわざ帰ってきたのに機嫌の悪い母と過ごしたくない。
凛はいつも必要経費と思って年末年始用にお金を用意していた。
外食する時は全て出すし、姉の子たちにはもちろん、母や姉にもお年玉を渡す。
母と姉でどんどん料理を選択していく。
店は家族連ればかりで、全ての席が埋まって賑わっていた。
「あ、あれ・・・・・・。名前なんだっけ。ほら、政治家の」
姉がツイとわずかに顎を上げた。
「ああ、西辻さんね」
母の言葉に凛はドキリとしてそっと振り返った。

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